「床」の断熱リフォームの種類と費用。信州の底冷え(ソコビエ)を解消する決定版
「床暖房を入れたい」という相談をよく受けますが、プロとしては「まずは断熱が先です」とお答えします。 断熱されていない床に床暖房を入れても、熱が床下に逃げてしまい、光熱費が跳ね上がるだけで部屋は暖まらないからです。
逆に言えば、「しっかり断熱された床」さえあれば、普通のエアコンやストーブだけでも足元の冷たさは劇的に改善します。
では、今の家の状況に合わせて、どのような工法を選ぶべきか? 代表的な2つの方法と、その費用を見ていきましょう。
目次
1. 【張り替え工法】 効果最強!床を剥がして断熱する
今あるフローリングや畳をすべて撤去し、骨組み(根太)の状態にしてから、断熱材を隙間なく詰め込み、新しい床材を張る方法です。
費用相場:6〜10万円 / 坪
(※6畳間で約18万〜30万円前後) ※新しい床材のグレードにより変動します。
- 工事内容:
- 既存の床を解体・撤去。
- 根太(ねだ)の間に、分厚いボード状断熱材(スタイロフォームやフェノバボードなど)を嵌め込む。
- 新しいフローリングを張る。
- メリット:
- 断熱性能が最高: 隙間なく施工でき、厚い断熱材を使えるため、新築同等の性能になります。
- 床鳴り・沈み解消: ギシギシ鳴る床や、ブカブカする箇所も同時に直せます。
- 段差解消: バリアフリー工事も同時に行えます。
- デメリット:
- 解体費用がかかるためコストが高め。
- 工事中はその部屋が使えない(家具の移動が必要)。
★信州へのおすすめ度:No.1
築年数が古い古民家や、床が劣化している場合は、迷わずこの方法を選んでください。「床暖房」を導入する場合もこの工法になります。
2. 【床下施工(非破壊)】 低コスト!潜って断熱する
床は剥がさず、職人が床下点検口から潜り込み、床の裏側から断熱材を貼り付ける、あるいは吹き付ける方法です。
費用相場:3〜6万円 / 坪
(※6畳間で約10万〜18万円前後)
- 工事内容:
- 床下に潜る。
- 床板の裏側に、グラスウール(綿状の断熱材)やボード状断熱材を金具で固定する。
- あるいは、発泡ウレタンを吹き付けて固める。
- メリット:
- ゴミが出ない: 解体しないので廃材処分費がかかりません。
- 生活しながら工事可能: 家具を動かす必要がなく、工期も1〜2日と短いです。
- デメリット:
- 潜れる高さが必要: 床下が低い(40cm未満など)と施工できません。
- 精度の限界: 狭い場所での作業なので、隙間ができやすいリスクがあります。
★信州へのおすすめ度:No.2
「床は綺麗だから壊したくない」「予算を抑えたい」という場合に有効です。ただし、床下の状況(湿気やシロアリ)によっては施工できないことがあります。
3. 信州の床断熱で失敗しない「秘訣」とは?
「断熱材を入れたのに、まだ寒い…」 信州のリフォーム現場で、たまに聞く失敗談です。 その原因の9割は、「気流止め(きりゅうどめ)」が行われていないことにあります。
「気流止め」のない断熱は意味がない
古い木造住宅は、床下と壁の中がつながっています。 床下に断熱材を入れても、この「壁との隙間」が空いていると、冷たい空気が壁の中を通って室内に侵入し、暖房の熱を奪ってしまいます。
- 対策: 床の断熱リフォームをする際は、必ず「床と壁の隙間を塞ぐ工事(気流止め)」をセットで行うよう、業者に依頼してください。これがあるかないかで、体感温度は5度以上変わります。
4. 費用対効果を最大化する「無垢材」の力
せっかく床を張り替えるなら、仕上げの「床材」にもこだわってみてください。 信州の冬には、「針葉樹の無垢フローリング」が最強のパートナーになります。
- スギ(杉)やパイン(松): 空気を多く含んでいるため、触れた瞬間の「ヒヤッ」とする感覚がありません。合板フローリングとは比べ物にならない温かさがあります。
- コスト: 合板フローリングとそれほど変わらない価格のものも多いです。
まとめ:足元が変われば、暮らしが変わる
- 本命: 予算が許すなら、床を剥がして断熱する「張り替え工法」。
- 手軽: 床が綺麗なら、下から貼る「床下施工」。
- 必須: どちらの場合も「気流止め」を忘れずに。
- 推奨: 仕上げは温かい「無垢材」で。
「冬はコタツから出られない」という生活も風情がありますが、家全体が暖かければ、活動的になり、冬の楽しみ方も変わります。 まずは、今の家の床下はどうなっているのか、プロに点検してもらうことから始めませんか?