別荘・寒冷地リフォーム

長野の「水回り」凍結対策|ヒーター代を節約!水抜き不要?リノベでできる根本的な予防法

長野の「水回り」凍結対策|ヒーター代を節約!水抜き不要?リノベでできる根本的な予防法

信州の冬、氷点下10度を下回る夜には、水道管の中の水が凍り、体積が増えて管を破裂させます。 これを防ぐために、長野県の古い家には、水道管に電気毛布のような「凍結防止帯(ヒーター)」がグルグル巻きにされています。

しかし、このヒーターが電気代を押し上げる元凶。しかも、停電したらアウトです。 そこで注目されているのが、「電気に頼らず、建物の構造で守る」というアプローチです。 これからリノベーションをするなら絶対に知っておきたい、3つの予防策をご紹介します。

1. 最強の対策「配管を『室内』に通す」

古い家は、水道管が「床下」や「屋外」といった氷点下になる場所を通っています。だから凍るのです。 リノベーションの際、このルートを根本から変えるのが最も効果的です。

「屋内配管(隠蔽配管)」にする

水道管を、断熱材で守られた「家の中(壁の中や天井裏)」に通します。 室内が暖房で温められていれば、配管も常にプラスの温度に保たれるため、理論上凍結しません。

  • メリット: 凍結防止ヒーターが不要(または最小限)になり、電気代が激減します。
  • 条件: フルリノベーションや、水回りの移動工事とセットで行う必要があります。

「基礎断熱」にする

床下に配管を通す場合でも、床板の下ではなく、「基礎コンクリートの外側」を断熱し、床下空間を室内と同じ環境にする工法です。 こうすれば、床下の配管も凍りません。

2. 地面の熱を利用する「凍結深度」の遵守

長野県には、建築基準法に関わるルールで「凍結深度(とうけつしんど)」というものがあります。 「冬場、地面が凍る深さ」のことで、地域によって40cm〜100cm以上と決められています。

埋設配管を深くする

敷地内の水道管を、この凍結深度よりも深く埋めることで、地熱の恩恵を受け、凍結を防ぎます。 古い家の場合、浅い位置に埋まっていることがあるので、リノベーション時に掘り起こして深く埋め直すのも有効な手です。

立水栓(外の水道)を不凍栓に変える

庭にある水道(立水栓)は一番凍りやすい場所です。 これを「不凍水栓柱」という、ハンドルを回すと地中深くに水が落ちる仕組みのものに交換します。地上の管には水が残らないので、絶対に凍りません。

3. 「保温材」のグレードアップと「二重巻き」

露出している配管(給湯器周りなど)には、発泡スチロールのような筒(保温材)が巻かれています。 この厚みが、一般地用と寒冷地用では違います。

厚さ20mm以上の保温材を使う

ホームセンターで売っている安い保温材(厚さ10mm程度)では、信州の寒さには勝てません。 厚さ20mm以上の寒冷地用を選び、さらにその上からキャンバステープを隙間なく巻くことで、魔法瓶効果を高めます。

ヘッダー配管工法(さや管ヘッダー)

最近のリノベーションで主流なのが、「さや管ヘッダー工法」です。 樹脂製の柔らかい管(架橋ポリエチレン管)を、さらに保護管(さや管)の中に入れた二重構造です。 空気の層ができるため断熱性が高く、万が一中の水が凍っても、管自体が柔軟に膨らむため、破裂しにくいという特徴があります。

4. 給湯器の「追い焚き機能」活用(循環)

意外と知られていないのが、給湯器の機能を使った予防法です。

  • 自動ポンプ運転: 最近の給湯器(寒冷地仕様)には、気温が下がると自動的に追い焚き配管の中の水を循環させる機能がついています。「水は動いていると凍りにくい」性質を利用したものです。 ※浴槽の循環口(穴)より上まで水を張っておく必要があります。

まとめ:リノベこそ「脱・ヒーター」のチャンス

  • 基本: 水道管を「寒い外・床下」ではなく「暖かい室内・断熱内」に通す。
  • 土中: 凍結深度より深く埋める。
  • 材料: 破裂しにくい樹脂管(ヘッダー工法)を採用する。

これらを行えば、毎晩「水抜きハンドル」を回す手間も、高額なヒーター代の請求書に怯えることもなくなります。

もちろん、マイナス15度を超えるような極寒の日や、数日間家を空ける時は「水抜き」が必要ですが、日常の安心感は段違いです。 水回りのリフォームをする際は、キッチンのデザインだけでなく、ぜひ「配管のルート」についても業者と話し合ってみてください。