「窓」の断熱リフォーム徹底比較|内窓(インプラス)は効果ある?信州の冬を乗り切る費用と選び方
「家の寒さは『窓』で決まる」
これは建築業界の常識ですが、具体的な数字をご存知でしょうか?
冬場、家から流出する熱の約58%は、窓などの開口部から逃げていきます。
つまり、窓を断熱することは、「暖房費という穴の空いたバケツを塞ぐ」のと同じこと。
特に長野県のような寒冷地では、窓リフォームをするだけで「朝の室温が5度上がった」「結露がピタリと止まった」という劇的な変化が起こります。
では、どんなリフォーム方法がベストなのか? 主要な3つの方法を比較していきましょう。
目次
1. 【本命】 内窓(二重窓)の設置(インプラス・プラマードUなど)
今ある窓の内側に、もう一つ新しい窓(樹脂製)を取り付ける方法です。
LIXILの「インプラス」やYKK APの「プラマードU」などが有名です。
- 工事内容: 既存の窓枠の内側にレールを取り付け、新しい窓をはめるだけ。1窓あたり約1時間で終わります。
- 信州でのメリット:
- 断熱効果が最強: 既存窓と新窓の間に「空気の層」ができるため、魔法瓶のような保温効果が生まれます。
- 結露防止: 内側の窓は樹脂製で冷たくならないため、結露が激減します。
- 防音効果: 気密性が高まるため、外の音が聞こえなくなり、静かになります。
- デメリット: 窓を開ける時に「2回開け閉め」が必要になり、少し面倒です。掃除の手間も2倍になります。
2. 【本格派】 窓交換(カバー工法)
古いサッシの枠の上に新しい枠を被せ、窓ごと新品(樹脂サッシ+トリプルガラスなど)に入れ替える方法です。
- 工事内容: 壁を壊さずに施工できる「カバー工法」が主流。半日〜1日で完了します。
- 信州でのメリット:
- 操作が楽: 窓は1枚(一重)のままなので、開閉がスムーズです。
- 機能性アップ: 最新の「ツーアクション窓(内倒し・ドレーキップ)」などを選べば、換気も快適になります。
- デメリット: 内窓に比べて費用が高くなります。また、古い枠の上に新しい枠を被せるため、窓の開口面積(ガラス面)が少し小さくなります。
3. 【簡易版】 ガラス交換(アタッチメント付ペアガラス)
今のアルミサッシの枠はそのまま使い、ガラスだけを「一枚ガラス」から「ペアガラス」に入れ替える方法です。
- 信州での評価: △(あまりおすすめしません)
- 理由: ガラス面は断熱されますが、「アルミ枠」はそのままだからです。信州の冬はアルミ枠がキンキンに冷えて結露し、そこから冷気が部屋に流れ込みます(コールドドラフト現象)。温暖な地域ならこれでも良いですが、長野県では「枠ごと(樹脂に)変える」のが鉄則です。
4. 徹底比較!費用と効果の一覧表
一般的な腰高窓(幅160cm×高さ110cm)を想定した比較です。
| 項目 | ① 内窓(二重窓) | ② 窓交換(カバー工法) | ③ ガラス交換 |
| 費用目安 | 5万 〜 10万円 | 15万 〜 25万円 | 3万 〜 6万円 |
| 断熱効果 | ◎(非常に高い) | ◎(非常に高い) | △(枠が冷たい) |
| 結露防止 | ◎(ほぼ解消) | ◎(枠も樹脂化で解消) | △(枠が結露する) |
| 防音効果 | ◎(非常に高い) | ○(気密性による) | △(あまり変わらない) |
| 施工時間 | 1時間 / 窓 | 半日 / 窓 | 30分 / 窓 |
| 総合評価 | コスパ最強(推奨) | 使い勝手重視なら | 信州では力不足 |
※費用は製品グレードや施工業者により変動します。
5. 2025年も継続!「補助金」を使わない手はない
窓リフォームを強力に後押しするのが、国の超大型補助金「先進的窓リノベ事業」です。
2025年度も継続が見込まれており、これを使うと工事費の約50%相当(上限200万円)が補助されるケースがあります。
- 内窓設置(Sグレード): 数万円〜/箇所の補助
- 窓交換(Sグレード): 十数万円〜/箇所の補助
「補助金を使えば、実質半額で家中の窓を二重にできた」という事例も多数あります。
ただし、予算上限に達し次第終了となるため、早めの行動が必須です。
6. 信州ならではの「ガラス選び」のコツ
窓枠だけでなく、中に入れる「ガラス」の種類も重要です。
- Low-E複層ガラス(断熱タイプ):ガラスの内側に金属膜をコーティングし、室内の熱を逃さないタイプ。信州の北側・東側の窓にはこれが必須です。
- Low-E複層ガラス(遮熱タイプ):日射熱を遮るタイプ。西日が強い窓にはこちらを選びますが、冬の日差しを取り込みたい南側の窓には、あえて「断熱タイプ(日射取得型)」を選ぶのが信州のプロの技です。
- アルゴンガス入り:ガラスの間に空気よりも熱を伝えにくい「ガス」を封入したもの。費用対効果が高いので、ぜひ追加してください。
まとめ:まずは「内窓」から始めよう
- コスパ: 圧倒的に「内窓(二重窓)」がおすすめ。
- 利便性: 開け閉めの手間を嫌うなら「窓交換(カバー工法)」。
- 資金: 「先進的窓リノベ事業」などの補助金を必ず活用する。
「たかが窓」と思うなかれ。窓が変われば、冬の朝、布団から出るのが辛くなくなります。暖房費も目に見えて下がります。
本格的な冬が来る前に、まずは寝室やリビングの窓から対策を始めてみませんか?