長野県で家を建てるなら断熱等級はいくつ?UA値・C値・地域区分の見方と、工務店への質問リスト
「この家、暖かいですか?」
工務店にそう聞いても、返ってくるのは「もちろん暖かいですよ」という答えです。これでは判断できません。
断熱性能は数値で確認できます。そして長野県は、日本の中でも特に高い性能が必要な地域です。この記事では、家づくりの前に知っておきたい3つの数値と、長野県で目指すべき水準を整理します。
目次
1. 長野県は「寒冷地」に区分されている
日本は省エネ基準で8つの地域に分けられ、数字が小さいほど寒い地域です。北海道が1〜2地域、東京や大阪が6地域にあたります。
長野県は2地域から5地域までが混在します。同じ県内でこれだけ幅があるのは全国でも珍しく、標高差の大きさによるものです。地域区分は市町村ごとに定められています。
| 地域区分 | 県内の市町村数 | 主な市町村 |
| 2地域 | 6 | 軽井沢町、川上村、南牧村、北相木村、南相木村、木祖村 |
| 3地域 | 30 | 佐久市、小諸市、茅野市、白馬村、野沢温泉村 |
| 4地域 | 39 | 長野市、松本市、上田市、諏訪市、須坂市、飯山市、安曇野市、塩尻市 |
| 5地域 | 2 | 飯田市、喬木村 |
つまり長野県で家を建てるなら、東京の基準で建てられた家より、確実に高い断熱性能が必要になります。「全国標準仕様」をそのまま持ってくる会社には注意が必要です。
お住まいの市町村がどの区分にあたるかは、業者に確認してください。市町村別の情報は市町村別の工務店ページにもまとめています。
2. 確認すべき3つの数値
① UA値(外皮平均熱貫流率)— 熱の逃げにくさ
家全体からどれだけ熱が逃げるかを表す数値です。単位はW/㎡K。小さいほど高性能です。
| 水準 | 2地域 | 3地域 | 4地域 | 5地域 |
| 等級4(省エネ基準・2025年から義務化) | 0.46 | 0.56 | 0.75 | 0.87 |
| 等級5(ZEH水準) | 0.40 | 0.50 | 0.60 | 0.60 |
| 等級6(目標にしたい水準) | 0.28 | 0.28 | 0.34 | 0.46 |
| 等級7(最高水準) | 0.20 | 0.20 | 0.23 | 0.26 |
お住まいの市町村がどの区分かで、目指すべき数値が変わります。長野市や松本市(4地域)なら等級6は0.34、佐久市や茅野市(3地域)なら0.28です。
義務化された基準はあくまで最低ラインです。「省エネ基準に適合しています」は、長野県では褒め言葉になりません。
② C値(相当隙間面積)— 家の隙間の少なさ
家全体にどれだけ隙間があるかを表す数値です。単位はc㎡/㎡。こちらも小さいほど高性能です。
- 1.0以下: 高気密と言える水準
- 0.5以下: 寒冷地で目指したい水準
- 2.0以上: 隙間風を感じる可能性が高い
C値には、UA値にない重要な特徴があります。計算では出せず、完成した家で実測するしかないのです。
つまり「C値0.5以下を保証します」と言える会社は、実際に測定している会社です。「気密測定はやっていますか」という質問は、その工務店の実力を測る最も簡単な方法のひとつです。
③ 断熱等級 — 分かりやすい等級表示
| 等級 | 位置づけ | HEAT20との関係 |
| 等級4 | かつての最高等級。2025年から最低ライン | — |
| 等級5 | ZEH相当 | G1に近い |
| 等級6 | 長野県での目標 | 2〜4地域ではG2と同じ数値 |
| 等級7 | 最高等級 | G3に近い |
※等級6とHEAT20 G2が同じ数値になるのは2〜4地域までです。5地域(飯田市・喬木村)では等級6が0.46、G2が0.34と差があり、等級6でもG2には届きません。
※制度と基準値は改正されます。着工時点の最新の基準は、国土交通省の資料と施工業者への確認をお願いします。
3. 性能を上げるといくらかかるのか
35坪の家で、断熱仕様を上げたときの追加費用の目安です。
| 水準 | 本体工事費への上乗せ | 内容 |
| 省エネ基準 → 等級5(ZEH) | 50万 〜 100万円 | 断熱材の増厚、樹脂サッシ化 |
| 等級5 → 等級6 | 100万 〜 200万円 | 付加断熱、トリプルガラス |
| 等級6 → 等級7 | 200万 〜 400万円 | さらに厚い付加断熱 |
等級6までは投資に見合います。長野県の暖房期間は長く、光熱費の差が毎年積み上がるからです。一方、等級7は費用対効果の面で慎重な判断が必要になります。
暖房費がどれだけ変わるかは寒冷地リフォームの費用対効果が参考になります。
4. 数値だけでは決まらないこと
UA値とC値が良ければ快適か、というとそうではありません。長野県では次の3点も見てください。
- 窓の配置と大きさ。南面は日射を取り込み、北面は小さくする。UA値が同じでも体感は変わる
- 換気システム。高気密になるほど計画換気が重要になる。熱交換換気なら暖気を捨てずに済む
- 暖房計画。各部屋にエアコンを置くのか、全館暖房にするのか。性能に見合った設計が必要
特に換気は見落とされます。C値0.5の家で換気設計が甘いと、結露と空気のよどみが起きます。性能を上げるほど、設計者の力量が問われます。
5. 工務店への質問リスト
そのまま聞いてみてください。
- 「この家のUA値はいくつになりますか」
- 「気密測定は実施していますか。実績のC値の平均はいくつですか」
- 「断熱等級はいくつで申請しますか」
- 「換気は第一種ですか第三種ですか。熱交換はありますか」
- 「うちの市町村は何地域ですか」
数字で即答できるかどうかが判断材料です。「うちは十分暖かいですよ」としか返ってこない場合は、性能を管理していない可能性があります。業者の見極め方は寒冷地リフォームが得意な業者の見分け方も参考になります。
よくある質問
Q. 補助金を使うには等級いくつが必要ですか?
制度によって異なりますが、等級5(ZEH相当)以上を要件にするものが多く、より高い性能ほど補助額が上がる設計になっています。長野県独自の制度もあります。詳しくは信州健康ゼロエネ住宅助成金をご覧ください。
Q. UA値が良ければ暖房費は安くなりますか?
下がりますが、暖房の使い方でも大きく変わります。高断熱の家は「一部屋だけ暖める」より「家全体を低めの温度で常時暖める」ほうが効率的で快適です。断熱性能に合わせて暮らし方も変わると考えてください。
Q. 古い家をリフォームして等級6にできますか?
技術的には可能ですが、費用は新築より高くつくことが多くなります。壁と床を剥がす工事が必要になるためです。部位別の断熱リフォームは「壁・天井」断熱リフォームで扱っています。
まとめ
- 長野県は2〜4地域。東京より高い断熱性能が必要
- 見るべきはUA値・C値・断熱等級の3つ
- 目標はUA値0.34前後(断熱等級6・HEAT20 G2)
- C値は実測しないと出せない。「気密測定はしていますか」が実力を測る質問
- 義務化された省エネ基準は最低ラインであって目標ではない
- 性能を上げるほど換気設計の重要度が上がる