カーポートの失敗7つ【長野】落雪の向き・境界50cm・建築確認を契約前に確かめる
カーポートで建ててから気づく失敗は、強度よりも「置く場所」と「向き」で起きます。雪が隣の敷地に落ちる、居間が暗くなる、柱がドアに当たる、建築確認をしていなかった、の4つが代表です。
契約の前に確かめる数字は多くありません。境界から50cm、車の幅に足す60〜90cm、車の高さに足す30〜50cm、床面積10㎡です。この記事は、長野県でカーポートを建てる人に向けて、法律とメーカーの公式の説明をもとに、失敗の中身と確かめ方をまとめます。
建ててから気づく7つの失敗と、契約前に確かめること
| 失敗 | 起きること | 契約の前に確かめること |
|---|---|---|
| 雪と雨水が隣に落ちる | 屋根の低い側から、雪と水が境界の向こうに落ちる | 屋根の傾きの向きと、境界からの離れ |
| 家の屋根の雪が直撃する | 落ちてきた雪の重さで、屋根や梁が壊れる | 家の屋根の雪が落ちる位置 |
| 居間が暗くなる | 光を通さない屋根が、窓の前をふさぐ | 屋根材の光の通し方と、冬の影の長さ |
| 柱がじゃまになる | ドアが開けにくい、車を入れにくい | 車の幅・ドアの開き・柱の本数と位置 |
| 高さが足りない | 車を買い替えたら入らない | 車の高さと、地面の傾き |
| 手続きをしていなかった | 建築確認や建ぺい率で、あとから直す必要が出る | 床面積と、敷地の建ぺい率の残り |
| 柱が凍結で持ち上がる | 基礎が浅く、冬に柱が動く | 基礎の深さと、市町村の凍結深度 |
強度の選び方はカーポートの積雪強度で解説しています。ここでは、場所と向きの話に絞ります。
失敗1:雪と雨水が、隣の敷地に落ちる
民法218条は、「直接に雨水を隣地に注ぐ構造の屋根その他の工作物を設けてはならない」と定めています(民法(国の法令検索))。屋根の水をそのまま隣の敷地に落とす造りは、法律で認められていません。また、民法717条は、土地の工作物の設置や保存に問題があって他人に損害を与えたとき、占有者や所有者が賠償の責任を負うと定めています。
雪について、LIXILは次のように説明しています(LIXIL「積雪対応のカーポートの選び方」)。
- 隣の家との境界に近いと、屋根に積もった雪が隣の敷地に落ちることがある
- 片側だけに柱があるカーポートは、屋根が下がっている方向に雪が落ちやすい
- 隣との間に十分な間隔をとる。または、屋根の傾きを、隣の家の側が高くなるようにする
三協アルミも、境界の側に水を流さない「逆勾配」の製品なら、雨や雪が隣に落ちるのを防げると案内しています。屋根のどちら側が低いか、雨どいの水がどこに出るかを、図面で確かめてください。
雨どいの出口と、冬の凍結
屋根の水は、雨どいを通って柱の足元に出ます。出口が玄関までの通路や隣の敷地に向いていると、冬はそこで水が凍ります。出口の位置と、水を流す先(側溝や排水のます)を、見積もりの図面に書いてもらいます。
YKK APは、縦の雨どいの出口を雪でふさがないこと、気温が下がるときは雨どいの水が凍ってふくらみ、雨どいが壊れるおそれがあることを注意しています(YKK AP「積雪対策」)。
境界からは50cm以上
民法234条は、建物を建てるときは境界線から50cm以上離すと定めています。違反すると、隣の土地の所有者は建築をやめさせたり、変えさせたりできます。着手から1年たったあと、または完成したあとは、損害賠償の請求だけになります。地域に別の慣習があれば、そちらに従います(236条)。
屋根と柱だけのカーポートに、この条文がそのまま当てはまるかは、条文からは読み取れません。ただ、YKK APも、敷地の端に建てるときに配慮する点として「民法上の隣地境界からの距離(原則50cm以上)」を挙げています。柱ではなく、屋根の先から境界までを測り、近づけるときは隣の家に先に話しておくと、あとの行き違いを防げます。
失敗2:家の屋根から落ちる雪が、カーポートに当たる
カーポートを家のすぐ横に建てると、家の屋根から落ちた雪が、カーポートの屋根に載ります。LIXILは、落ちた雪とカーポートに積もった雪を合わせると強度を超えることがあり、固まった雪が当たると壊れるおそれがあると説明しています。YKK APも、落雪のおそれがない位置に建てることを勧めています。
- 家の屋根の傾きを見て、雪が落ちる側(軒先の下)を避けます
- 避けられないときは、家の屋根に雪止めを付けるか、カーポートの強度を1段上げます。雪止めは雪止めの種類と設置費用をご覧ください
- メーカーの強度は、新雪(比重0.3)で計算した値です。湿った雪や雨のあとの雪は、新雪の3倍の重さになることがあります
失敗3:居間や玄関が暗くなる
雪の多い地域で使われるスチール折板(せっぱん)の屋根は、光を通しません。南側の窓の前に建てると、部屋が暗くなります。
長野市(北緯約36.7度)では、冬至の正午の太陽の高さは約30度です。高さ2.5mの屋根の先が落とす影は、正午でも約4.3m先まで伸びます(緯度からの計算値)。冬は、屋根より北側の窓に日が入りにくくなります。
屋根材ごとの光の通し方は、メーカーが公表しています。次は、LIXILのカーポート「フーゴ」の屋根材の参考値です。
| 屋根材(LIXIL フーゴ) | 光を通す割合(全光線透過率) | 熱線を減らす割合 |
|---|---|---|
| ポリカーボネート板 クリアマット | 83% | 20% |
| 熱線吸収ポリカーボネート板 クリアマットS | 80% | 36% |
| ポリカーボネート板 クリアブラウン | 49% | 34% |
| ポリカーボネート板 クリアブルー | 31% | 37% |
| 熱線吸収ポリカーボネート板 ブルーマットS | 17% | 52% |
| アルミ樹脂複合板 | 0% | 100% |
同じポリカーボネートでも、色によって83%から17%まで差があります。数値は参考値で、製品によって選べる屋根材が違います。
- 折板の屋根でも、一部を光を通す板に替えられる製品があります。LIXIL「カーポートST」は屋根を「遮光」と「採光」から選べ、YKK AP「ジーポートPro」には「明かり取り屋根」があります
- 窓の真正面を避け、位置をずらせないかを先に考えます
- 柱を長くして屋根を高くする方法もあります。高さは次の章で確かめます
屋根材ごとの違いはカーポートの屋根材の比較にまとめています。
失敗4・5:柱がじゃまになる、高さが足りない
YKK APは、車の大きさから必要な幅と高さを出す目安を公表しています(YKK AP「カーポートの最適な開口・高さの選び方」)。
| 確かめる寸法 | 目安 | 考え方 |
|---|---|---|
| 1台用の幅(最低限) | 車の幅+約60cm | ドアを開けて乗り降りできる最低の幅 |
| 1台用の幅(ゆとり) | 車の幅+約90cm以上 | 荷物を持って乗り降りする幅 |
| 2台の車のあいだ | 1.0〜1.2m | 両方のドアを開けても当たらない |
| 両端の乗り降りの幅 | 70〜90cm | 柱の内側から車までの幅 |
| 2台用の幅(中型車+軽自動車) | 5.5〜6.0m以上 | 上の寸法を足した値 |
| 奥行き | 車の長さ+1.1〜1.3m | 後ろの荷室を開ける80cm〜1.0mと、前の約30cm |
| 高さ | 車の高さ+30〜50cm | 高さ1.9mのミニバンなら約2.4m |
- 強度を上げると柱が増えます。LIXIL「カーポートST」は、積雪100cm相当で4本か6本、150cm相当で4・6・8本、200cm相当で6本か8本です。柱がドアの位置に来ないかを、図面で確かめます
- 柱の高さは、YKK APの場合、標準(H20・H22)、ハイルーフ(H24・H25)、ロング(H28・H30)の3つです。LIXILは標準が1,800〜2,200mmほど、ロングが約2,500mm、ハイロングが約2,800mmと案内しています
- 駐車場は道路に向かって傾いていることが多く、YKK APは地面の傾きも考えるよう注意しています。屋根のいちばん低いところで、車の高さに足りるかを確かめます
- 屋根に荷物を載せる台を付ける予定や、背の高い車に買い替える予定があれば、先に伝えます
寸法と高さによる価格の違いはカーポートのサイズと高さの選び方、柱の立て方の違いは片側支持と両側支持の違いで解説しています。
失敗6:建築確認と建ぺい率を確かめていなかった
カーポートは、建築基準法の「建築物」です。屋根と柱があり、土地に固定されているためです。LIXILは、床面積が10㎡を超える場合や、防火地域・準防火地域に建てる場合は建築確認の申請が必要で、申請するのは施工業者ではなく建て主だと案内しています(LIXIL「カースペースを計画する」)。
- 車1台分の屋根は約15㎡なので、1台用でも10㎡を超えます
- 申請が要らない場合でも、建ぺい率などの決まりは守る必要があります。京都市や札幌市も、同じ内容を知らせています
- 長野県では、長野市・松本市・上田市は市の建築指導の担当課、そのほかの市町村は県の建設事務所の建築課が窓口です
建ぺい率:屋根の端から1mは、面積から除ける場合がある
カーポートの屋根は、建ぺい率の計算に入ります。ただし、国の告示(平成5年建設省告示第1437号)の4つの条件を満たすと、屋根の端から1mまでを建築面積に入れずに済みます。
- 外壁のない部分が、連続して4m以上ある
- 柱の間隔が2m以上
- 天井の高さが2.1m以上
- 地階を除く階数が1
| 大きさ | 屋根の面積 | 条件を満たしたときの建築面積 |
|---|---|---|
| 1台用(2.7m×5.7m) | 約15.4㎡ | 約2.6㎡ |
| 2台用(5.5m×5.7m) | 約31.4㎡ | 約13.0㎡ |
| 3台用(8.0m×5.7m) | 約45.6㎡ | 約22.2㎡ |
横に囲いの板を付けると、条件から外れることがあります。判定は窓口によって違うので、図面を持って相談してください。手続きと税金はカーポートの固定資産税と建築確認で詳しく解説しています。
失敗7:長野県ならではの、凍結と積雪の確かめ方
冬に地面が凍る深さを、凍結深度といいます。基礎がこれより浅いと、土が凍ってふくらみ、柱が持ち上がることがあります。長野県は、建築基準法上の凍結深度を定めていません。市町村の参考値などをもとに、設計する人が判断します。数値を公表している市の例は、次のとおりです。
| 市 | 凍結深度 | 積雪の基準(垂直積雪量) |
|---|---|---|
| 長野市 | 45cm以上(標高がおおむね800mを超える地点は60cm以上) | 犀川より北で標高900m未満の区域と若穂は80cm、犀川より南で標高500m未満は55cm、500m以上は70cm |
| 松本市 | 参考値40.5cm(四賀50〜60cm、安曇70〜80cm、奈川60cm、梓川・波田70cm) | 78cm(四賀の一部・安曇・奈川・梓川・波田は標高から計算) |
出典は長野市「建築基準法等に関して定めている数値等」と、松本市の公表資料です。
- 見積もりで、基礎の深さと大きさが何cmかを聞きます。強度の高い製品ほど、基礎も大きくなります
- LIXIL「カーポートST」には、ロング柱と凍上(とうじょう)柱の用意があります。寒い地域向けの柱を使うかどうかも確かめます
- 建築確認では、その場所の垂直積雪量に合った強度が求められます。同じ製品でも、地域によっては使えないことがあります
見積もりと契約の前に、業者に聞く8つのこと
- 屋根はどちらが低く、雪と水はどこに落ちますか
- 屋根の先から境界まで、何cmありますか
- 家の屋根の雪は、カーポートに落ちませんか
- 冬の昼に、どの窓に影がかかりますか。光を通す屋根にできますか
- 柱は何本で、どこに立ちますか。ドアは開きますか
- 屋根のいちばん低いところの高さは、何cmですか
- 建築確認の申請は要りますか。だれが、いくらで手続きしますか。建ぺい率は足りますか
- 基礎の深さは何cmですか。この場所の凍結深度と垂直積雪量を、どう見ていますか
図面を出して、この8つに答えてくれる業者なら、建ててからの行き違いは減らせます。業者の見分け方は雪対策・外構工事が得意な業者の選び方にまとめています。
よくある質問
折板の屋根なら、雪は落ちませんか
落ちないとは言えません。メーカーは、雪が決められた量を超える前に雪下ろしをするよう求めています。下ろした雪の置き場も要ります。屋根の傾きの向きと境界からの離れは、屋根の種類にかかわらず確かめてください。
建ててから、位置や向きを変えられますか
柱はコンクリートの基礎で固定するので、動かすには一度取り壊して建て直すことになります。2台用の撤去は、解体・運搬・基礎の取り壊しを合わせて約7万〜21万円が目安です(全国の相場をもとにした目安。新しい本体と工事の費用は別)。場所と向きは、契約の前に決めきってください。
隣の家には、いつ話せばよいですか
契約の前がよいでしょう。屋根の先の位置、雪と水の落ちる向き、工事の日程を伝えます。境界に近いときは、図面を見せて確かめてもらうと、あとの行き違いを防げます。
まとめ
- 失敗の多くは、強度ではなく、置く場所と向きで起きます
- 雨水を直接隣の敷地に落とす屋根は、民法218条で禁じられています。屋根の低い側と雨どいの出口を、図面で確かめます
- 境界からは50cm以上を目安に離し、家の屋根の雪が落ちる位置を避けます
- 屋根材の光の通し方は、0%から83%まで差があります。冬の影の長さも確かめます
- 幅は車の幅+60〜90cm、高さは車の高さ+30〜50cmが目安です
- 床面積が10㎡を超えると、建築確認の申請が必要です。建ぺい率の残りも確かめます
- 基礎の深さは、市町村の凍結深度と照らして確かめます