冬なのに天井にシミ?長野県の「すが漏れ」の原因と修理費用|火災保険は使える?

冬なのに天井にシミ?長野県の「すが漏れ」の原因と修理費用|火災保険は使える?

「雨は降っていないのに、天井にシミができた」

真冬にこれが起きたら、すが漏れを疑ってください。長野県の住宅で毎年起きている、雪国特有の雨漏りです。

厄介なのは、屋根が壊れていなくても起きるという点です。修理を頼んでも「異常なし」と言われることがあり、原因にたどり着けないまま何年も繰り返す家があります。

1. すが漏れとは何か

「すが」は氷のこと。英語ではアイスダム(氷のダム)と呼ばれます。

起きる順序はこうです。

  • 室内の熱が天井から屋根裏に漏れ、屋根を下から温める
  • 屋根の上の雪が、下から溶ける
  • 溶けた水が軒先まで流れる。軒先は室内の熱が届かず冷たいので、そこで再び凍る
  • 凍った氷が堤防(ダム)になり、後から流れてくる水をせき止める
  • せき止められた水が、屋根材の重なりを逆流して室内に入る

つまり原因は屋根ではなく、室内の熱です。屋根材を張り替えても、熱漏れが直らなければ再発します。

軒先に大きなつららが下がる家は、この状態が起きているサインです。

2. 起きやすい家の条件

条件なぜ起きるか
天井・屋根の断熱が薄い室内の熱が屋根裏に抜ける
屋根裏の換気が不足している抜けた熱が屋根裏にこもり、屋根を温める
照明・換気扇の穴から熱が漏れるダウンライトや配管の貫通部が弱点になる
軒の出が長い軒先が室内の熱から遠く、凍りやすい
屋根の勾配が緩い水がゆっくり流れ、途中で凍る
谷(複雑な屋根形状)がある雪と水がたまりやすい

築年数の古い家に多いのは、断熱と屋根裏換気の基準が今より緩かったためです。逆に、高断熱の家ではほとんど起きません。

3. 対策と費用

根本的な対策(熱を漏らさない)

対策費用の目安効果
天井・屋根裏の断熱を増やす30万 〜 100万円最も効果が高い
屋根裏の換気口を増やす10万 〜 40万円こもった熱を逃がす
天井の気密処理20万 〜 60万円ダウンライト・配管の穴をふさぐ
屋根の葺き替え時に断熱を入れる屋根工事に上乗せ50万〜150万円同時施工なら割安

※金額は全国の屋根工事業者が公表している相場をもとにした目安です。屋根の形状・面積・足場の要否で変わります。

断熱の考え方は「壁・天井」断熱リフォームを、屋根の葺き替え全体の費用は屋根リフォームの費用相場をご覧ください。

対症療法(凍らせない・水を入れない)

  • 軒先のヒーター(融雪ケーブル):設置5万〜20万円。電気代が毎冬かかる
  • 防水シート(ルーフィング)のグレードを上げる:葺き替え時に。逆流しても室内に入りにくくなる
  • 雪止めの位置を見直す雪止めの種類と設置費用を参照

対症療法だけでは根本解決になりません。ヒーターは電気代がかかり続けますし、断線すれば元に戻ります。予算が許すなら断熱と換気から手を付けてください。

4. 応急処置としてやってはいけないこと

  • 屋根に登って氷を割る。屋根材を傷めるうえ、転落の危険が大きい
  • 塩化カルシウムをまく。金属屋根と雨樋を腐食させる
  • 熱湯をかける。すぐ再凍結して悪化する

室内側でできるのは、水を受けて被害を広げないことだけです。バケツを置き、家財を移動させ、写真を撮っておく。そのうえで業者に見てもらってください。

5. 火災保険は使えるか

多くの場合、すが漏れは火災保険の対象外です。

ケース保険適用の可能性
すが漏れ(結露・氷の逆流)対象外のことが多い
雪の重みで屋根材が破損した雪災として対象になりうる
飛来物や強風で屋根が壊れた風災として対象になりうる
経年劣化による雨漏り対象外

すが漏れは「建物の性能不足による現象」と判断されやすく、突発的な事故とは見なされにくいためです。ただし、氷の重みで雨樋や軒先が物理的に壊れた場合は、雪災として認められることがあります。

判断は保険会社によります。被害の写真を撮り、まず問い合わせてみてください。進め方は火災保険を活用する雪害・風害リフォームにまとめています。

よくある質問

Q. 屋根を葺き替えれば直りますか?

直らないことがあります。原因は室内からの熱漏れなので、葺き替えだけでは再発します。葺き替えるなら、同時に天井の断熱と屋根裏の換気を見直してください。足場代を1回で済ませられる分、割安になります。

Q. 大きなつららができる家は危険ですか?

すが漏れが起きているか、起きる寸前のサインです。加えてつらら自体が落下すると人に当たる危険があります。軒下が通路になっている場合は特に注意してください。

Q. 新築でも起きますか?

断熱と気密が確保されていれば、ほとんど起きません。逆に言えば、新築で起きる場合は施工不良の可能性があります。保証期間内なら施工会社に相談してください。新築時の断熱の基準は断熱等級とUA値の見方を参照してください。

Q. 賃貸で起きた場合は?

建物の性能に起因するため、原則として貸主(オーナー)の責任で修繕する範囲です。管理会社に連絡してください。

まとめ

  • すが漏れの原因は屋根ではなく室内から漏れる熱
  • 軒先の大きなつららはサイン
  • 根本対策は天井の断熱・屋根裏の換気・気密処理(30万〜100万円)
  • 屋根に登って氷を割らない。塩化カルシウムも熱湯も逆効果
  • 火災保険は対象外のことが多い(氷で物理的に壊れた場合を除く)
  • 葺き替えるなら断熱と換気を同時に直す