長野県の換気システムの選び方|第一種と第三種、熱交換で−5度の外気が12.5度になる
換気は、住宅設備のなかで最も軽視されている設備です。
目に見えず、効果を実感しにくい。しかし高断熱・高気密の家ほど、換気の良し悪しが暮らしを左右します。隙間がないということは、意図した経路でしか空気が動かないということだからです。
そして長野県には、もうひとつ理由があります。せっかく暖めた空気を、換気で捨て続けているという問題です。
目次
1. 換気は法律で義務づけられている
2003年の建築基準法改正で、住宅には24時間換気設備の設置が義務づけられました。シックハウス対策として、1時間に0.5回(2時間で家中の空気が入れ替わる)の換気が求められます。
つまり換気を止めることはできません。「寒いから換気扇を止める」は、法の趣旨に反するうえ、結露やカビの原因になります。
であれば、どう換気するかが設計の問題になります。
2. 第一種と第三種
| 第一種換気 | 第三種換気 | |
| 給気 | 機械(ファン) | 自然給気口 |
| 排気 | 機械(ファン) | 機械(ファン) |
| 初期費用 | 50万 〜 150万円 | 10万 〜 30万円 |
| 熱交換 | できる | できない |
| 給気の温度 | 熱交換すれば室温に近い | 外気そのまま。冬は冷気が入る |
| メンテナンス | フィルター清掃が要る | 少ない |
| 電気代 | ファン2系統ぶん | ファン1系統ぶん |
※費用は全国の設備・住宅情報サイトが公表している相場をもとにした目安です。住宅の規模と方式によって変わります。
第三種は安く、確実に動きます。ただし冬は給気口から外気がそのまま入ります。氷点下の空気が室内に入ってくるということです。
給気口の近くが寒く、そこを塞いでしまう。これが第三種でよくある失敗です。塞げば換気が成立しなくなります。
3. 熱交換換気という選択
第一種換気のうち、捨てる空気の熱を、入れる空気に移す機能を持つものを熱交換換気と呼びます。
| 外気温 | 熱交換なし(第三種) | 熱交換あり(交換効率70%の場合) |
| −5度(室温20度) | −5度の空気が入る | 約12.5度の空気が入る |
| 0度(室温20度) | 0度の空気が入る | 約14度の空気が入る |
| 5度(室温20度) | 5度の空気が入る | 約15.5度の空気が入る |
※交換効率70%として、給気温度=外気温+(室温−外気温)×0.7 で算出した目安です。
外気温が低いほど、熱交換の価値が大きくなります。暖房期間が長い長野県では、効いてくる設備です。
ただし断熱性能が低い家では意味が薄れます。壁や窓から逃げる熱のほうが圧倒的に大きいためです。断熱の考え方は断熱等級とUA値の見方をご覧ください。
4. どちらを選ぶか
| 家の断熱性能 | 推奨 | 理由 |
| 断熱等級4以下 | 第三種で十分 | 換気より先に断熱に投資すべき |
| 断熱等級5 | どちらでも | 予算と優先順位しだい |
| 断熱等級6以上 | 第一種(熱交換) | 熱交換の効果が相対的に大きくなる |
| 全館暖房を入れる | 第一種(熱交換) | 家全体の空気を扱うため相性が良い |
順番を間違えないでください。断熱が弱い家に熱交換換気を入れても、投資の回収は難しくなります。まず窓、次に壁と天井、そのうえで換気です。
全館暖房との組み合わせは全館暖房・全館空調は長野県で成立するかを参照してください。
5. 長野県ならではの注意点
① 給排気口が雪に埋まる
外壁の低い位置にある給排気口は、積雪で塞がれます。塞がれると換気が止まり、機種によっては警報が出ます。
- 積雪深より高い位置に設置する
- 設計段階で、屋根からの落雪がかかる位置を避ける
- 冬は定期的に埋まっていないか確認する
② 結露と凍結
熱交換素子の内部で結露し、氷点下では凍結することがあります。寒冷地対応の機種を選び、凍結防止の制御があるかを確認してください。
③ フィルターの管理
第一種換気はフィルターの清掃・交換が要ります。怠ると風量が落ち、換気が成立しなくなります。目安は3か月に1回の清掃、1〜2年で交換。年間の消耗品費は5,000円〜2万円程度です。
メンテナンスできる位置に本体があるかを、設計段階で確認してください。天井裏の奥まった場所だと、点検が現実的に不可能になります。
よくある質問
Q. 換気扇を止めれば暖房費は下がりますか?
下がりますが、やってはいけません。法令上の義務であることに加え、湿気がこもって結露とカビが発生します。壁の内部で結露すれば、構造材が腐ります。
Q. 古い家に後付けできますか?
第三種なら比較的簡単に後付けできます。第一種はダクトを回す必要があるため、天井や壁を開ける工事が要ります。リフォームで内装を剥がすタイミングと合わせるのが現実的です。
ダクトを回せない場合は、壁に埋め込むダクトレス型の熱交換換気という選択肢もあります。部屋ごとに1台ずつ設置し、蓄熱素子で給気と排気を数十秒ごとに切り替えて熱を回収する方式です。1台10万〜20万円前後で、必要な部屋数ぶんが必要になります。ダクト式ほどの熱交換効率は出にくい一方、壁の穴だけで済むため、既存住宅では現実的な選択肢になります。
Q. 熱交換換気の電気代はどのくらいですか?
機種によりますが、ファン2系統を24時間動かすぶんの電力がかかります。熱交換で回収する熱量のほうが大きくなるのが前提の設備なので、断熱性能が高い家ほど収支が合いやすくなります。
Q. 花粉やPM2.5は防げますか?
第一種換気なら、給気側に高性能フィルターを付けられます。第三種は自然給気口なので、フィルター性能に限界があります。花粉症の方には第一種の利点になります。
まとめ
- 24時間換気は2003年から法令で義務。止めるという選択肢はない
- 第三種10万〜30万/第一種50万〜150万円
- 熱交換なら−5度の外気が約12.5度になって入る(交換効率70%の場合)
- 断熱等級4以下なら換気より先に断熱。等級6以上で熱交換が効いてくる
- 長野県では給排気口が雪に埋まらない高さに設置する
- 第一種はフィルター清掃が前提。点検できる位置に本体を置く