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古民家再生

古民家の床DIYはどこまでできる?材料費と、長野県の床断熱の厚さ65〜100mm

古民家の床DIYはどこまでできる?材料費と、長野県の床断熱の厚さ65〜100mm

古民家の床は、今の床に板を重ねて張る作業と、1階の床板の張り替えまでなら、自分でできる範囲です。土台や大引の交換、シロアリの被害の手当て、床下の配線は業者に頼みます。

材料費は、杉の無垢の床板(厚さ15mm・節あり)で1㎡あたり約5,200〜7,100円が目安です。床下の断熱材は、長野県の多くの市町村で厚さ65mm、寒さの厳しい市町村で100mmが目安になり、メーカーの参考価格は1㎡あたり約6,900〜10,600円です。自分でできる範囲、法律の決まり、断熱と湿気の扱い、業者に頼んだときの費用をまとめます。

自分でできる作業と、業者に頼む作業

作業目安理由
今の床の上に新しい板を重ねて張る自分でできる廃材が少なく済みます。床が板の厚さだけ高くなり、床下に断熱材は入れられません
1階の床板をはがして張り替える(根太・合板・断熱材を含む)手間はかかるが自分でできる床下を確かめて、断熱材を入れられます。水平を出す作業に時間がかかります
土台・大引・床を支える束の交換、床全体の傾きの直し業者に頼む建物を支える部分です
シロアリの被害、木が腐っている部分の手当て業者に頼む被害の広がりの確認と、薬剤の扱いが要ります
床下の配線の移動、コンセントの増設電気工事士に頼む資格のない人の電気工事は、法律で禁じられています

床以外も含めた線引きは古民家再生のDIYはどこまで可能か、壁の仕上げは漆喰・珪藻土の壁のDIYで扱っています。

始める前に知っておく法律の決まり

床下の配線は電気工事士の仕事

経済産業省は、電気工事は電気工事士などの資格がなければ行えないと案内しています(電気工事士法第3条)。資格が要らないのは、電気器具の端子に電線をねじ止めするなどの「軽微な工事」だけです。床下を通る配線を動かす、つなぎ直す、コンセントを増やすといった作業は、電気工事士に頼みます(経済産業省「電気工事の安全」)。

建築確認が要るのは、2階の床を根太から直す大きな工事

2025年4月から、木造でも2階建て以上、または延べ面積が200㎡を超える建物は、大規模な修繕・模様替えをするときに建築確認の手続きが必要になりました。壁・柱・床・はり・屋根・階段のうち1種類以上を、半分を超えて直す工事のことです。

床については、国土交通省が次のように整理しています(国土交通省「木造戸建の大規模なリフォームに関する建築確認手続について」)。

  • いちばん下の階の床は、対象になる「主要構造部」から除かれます。1階の床の張り替えは、この手続きの対象になりません
  • 仕上げの板だけの張り替えと、今の床の上に新しい板を重ねる工事は、大規模な修繕・模様替えに当たりません
  • 2階の床で、根太まで直す範囲が床面積の半分を超えるときは、建築確認が必要です

畳の部屋を板の間にするときの、床の骨組み

床は、下から大引、根太、下地の合板、仕上げの板の順に重なっています。住宅金融支援機構の「木造住宅工事仕様書」(2025年版)は、寸法を次のように定めています。下地を組むときの目安になります。

部材仕様書の寸法
大引(根太を受ける太い横木)断面90mm×90mm以上
根太(床板を受ける細い横木)断面45mm×45mm以上。大引の間隔が900mm前後のときは45mm×60mm以上
根太を並べる間隔畳の床は450mm前後、それ以外の床は300mm前後
下地の合板構造用合板で厚さ12mm以上。根太を使わず大引に直接張るときは厚さ24mm以上
  • 畳の部屋の根太は、板の間より広い間隔で並んでいることがあります。板を張るときは、根太を足して300mm前後の間隔にします
  • 畳は床板より厚いので、敷居との段差が出ないよう、根太や合板で高さを合わせます
  • 古民家の床は、長い年月で傾いたり波を打ったりしています。根太の下に薄い板をはさんで水平を出す作業に、いちばん時間がかかります
  • 無垢の板は、湿気で幅が伸び縮みします。板どうしのすき間の取り方は、床板のメーカーの施工説明書に従います

長野県の床断熱は、地域区分で厚さが変わる

長野県の市町村は、国の省エネ基準で2〜5地域に分かれています。数字が小さいほど寒い地域です。4地域が39市町村(長野市・松本市・上田市・諏訪市など)、3地域が30市町村(佐久市・小諸市・茅野市・白馬村など)、2地域が6町村(軽井沢町・川上村・南牧村など)、5地域が2市村(飯田市・喬木村)です。

最低気温が0℃を下回る日は、直近10年(2016〜2025年)の平均で、長野市が年に約96日、松本市が約102日、軽井沢町が約146日あります(気象庁の観測値)。

国の基準と、合う断熱材の厚さ

国土交通省の省エネ基準(仕様基準)は、新築の木造住宅の床に入れる断熱材の性能を、熱抵抗値(熱の伝わりにくさ。大きいほど高性能)で決めています。床下に風が通るふつうの1階の床は、4〜7地域で2.2以上、1〜3地域で3.3以上です(国土交通省「仕様基準ガイドブック」のチェックリスト)。古民家では、厚さを決める物差しになります。

板の形の断熱材(押出法ポリスチレンフォーム)で、この数字に合う製品と価格は次のとおりです。価格は、デュポン・スタイロの参考価格表(2026年7月現在・税別)によります。

地域区分基準の熱抵抗値合う製品の例(厚さ・熱抵抗値)参考価格(1㎡)10㎡(6畳ほど)
4・5地域2.2以上スタイロエース-Ⅱ(65mm・2.3)6,916円約6.9万円
4・5地域2.2以上スタイロフォームIB(100mm・2.8)7,560円約7.6万円
2・3地域3.3以上スタイロエース-Ⅱ(100mm・3.6)10,640円約10.6万円
2・3地域3.3以上スタイロフォームFG(75mm・3.4)11,445円約11.4万円

熱抵抗値と厚さはデュポン・スタイロ「標準サイズ・物性・熱抵抗」によります。参考価格はメーカーが示す定価に当たる金額で、店頭の価格は店ごとに違います。

  • 厚さ65mmの断熱材は、高さ45〜60mmの根太の間には収まりません。大引(高さ90mm)の間に入れるか、根太の高さを上げます。100mmは大引の間にも収まらないので、薄くて性能の高い製品を選ぶか、受け材で下に支えます
  • 断熱材は寸法を測って切り、すき間なく入れ、落ちないよう受け金物や受け材で支えます
  • グラスウールなど、ほかの断熱材との比較は断熱材の費用比較をご覧ください

壁の中を上がる冷気を止める

古い木造の家は、床下と壁の中がつながっていることがあります。国土交通省の検討資料は、気流止めが無いと、外の空気が床下から壁の中に入って屋根裏へ抜け、断熱の性能を下げる大きな原因になるとしています。床をはがしたときに、壁の下の端にすき間が見えたら、木材や断熱材でふさぎます。家全体の断熱の順番は古民家の断熱の進め方で解説しています。

床をはがしたら、湿気とシロアリを確かめる

断熱材を入れる前に、床下で次の点を確かめます。

確かめること目安・基準出どころ
床下の風通し外周の基礎に、4m以下ごとに300平方cm以上の換気口。または全周に1mあたり75平方cm以上住宅金融支援機構の技術基準
地面からの湿気厚さ60mm以上のコンクリート、または厚さ0.1mm以上の防湿フィルムで地面を覆う住宅金融支援機構の技術基準
シロアリと木の傷み土台・大引・束が湿っていないか、土でできた筋(蟻道)が無いか。ヤマトシロアリは湿った所を好み、建物の下のほうを食べる日本しろあり対策協会
  • この基準は、住宅ローンのフラット35を使う住宅のものです。古民家では、床下に風が通ることと、地面の湿気を上げないことの目安として使います
  • ヤマトシロアリの羽アリは、4〜5月の昼間に飛びます(東北・北海道は6月ごろ)。この時期に家の中や周りで羽アリを見たら、床下を調べます(日本しろあり対策協会「羽アリが飛ぶ時期」)
  • シロアリの被害は、木が腐るのと同時に起こることが多いとされています。どちらかを見つけたら作業を止めて、業者に見てもらいます

材料費の目安

無垢の床板の価格は、無垢フローリングの専門店が公表している価格表(税込・2026年10月時点)を見ました。全国向けの専門店1社の価格なので、目安としてご覧ください。産地は長野県に限りません。

樹種(厚さ15mm)板の条件1㎡あたり
杉節あり・長さ1,920mm・幅95〜150mm約5,200〜7,100円
桧(木曽桧)節あり・長さ1,820mm・幅80〜140mm約7,900〜9,100円
唐松節あり・長さ1,820mm・無塗装約8,900円
栗小節・長さ1,820mm・幅75mm・無塗装約7,300円
  • 10㎡(6畳ほど)なら、杉の節ありで約5.2万〜7.1万円です。切り落とす分を見て、多めに用意します
  • 塗装の有無、節の少なさ、板の幅で価格が変わります。根太・合板・ビス・塗料は、必要な数を出してから店で確かめます

長野県はカラマツの産地です。林野庁の資料によると、カラマツは杉や桧より強度に優れ、中心の部分は飴色です。県産の床板を探すときは、長野県「信州の木でできた木工品やDIY材をお探しの方」で、地域ごとの取扱い事業者を調べられます。

業者に頼んだときの費用

工事費用の目安出どころ
畳の部屋を板の間にする15万〜60万円国土交通省「リフォームの内容と価格について」
段差をなくす(床のかさ上げ)8万〜20万円同上
シロアリを防ぐ処理(戸建て)15万〜30万円同上
床をはがして断熱材を入れ、張り替える(6畳)約18万〜30万円当サイトの記事の目安
床下にもぐって断熱材を入れる(6畳)約10万〜18万円当サイトの記事の目安

国土交通省の金額は、工務店など約40社への調査にもとづく参考の値で、材料費と工事費を含みます。資料に作成した年が書かれていないので、今の見積もりで確かめてください。工法ごとの違いは床の断熱リフォームの種類と費用、家全体の費用は古民家リノベーションの費用で解説しています。

自分で工事すると、補助金は使えない

国の「みらいエコ住宅2026事業」のリフォームは、事業に登録した業者が申請する制度です。県の「信州健康ゼロエネ住宅助成金」のリフォームも、県内に本店を置く事業者が申請し、施工します。どちらも、自分で施工した工事には使えません。県の制度は、床などの断熱に1㎡あたり3,000円が出ます(総工事費の20%までなどの上限があります)。制度の一覧は古民家リノベーションの補助金にまとめています。

電動の工具でけがをしないために

床板や根太を切るときは、電動の丸のこを使います。消費者庁は2019年7月、電動のこぎりで体の一部を切る事故が起きているとして注意を呼びかけました。医療機関から寄せられた事故は、2010年12月から2019年6月末までに87件あり、61%は60代以上の人でした。丸のこを使っていて太ももを負傷し、亡くなった事故も1件報告されています。消費者庁が挙げた注意は次の5つです。

  1. 使う前に取扱説明書を読み、書かれた注意を守る
  2. 刃が思わぬ方向にはねることがあると知ったうえで、慎重に作業する
  3. 明るく、片づいた場所で作業する
  4. 作業に合った服を着て、防護めがね・防じんマスク・耳栓などを使う
  5. 家族などに声をかけてから作業を始める

よくある失敗と、避け方

失敗避け方
板を張り替えたのに、足元が冷たいまま重ね張りでは断熱材を入れられません。寒さを直すなら、床をはがして断熱材を入れ、壁の下のすき間もふさぎます
重ね張りで床が上がり、戸が開かなくなった張る前に、板の厚さと、戸の下のすき間・敷居の高さを測ります
傷んだ土台の上に、新しい床を張ってしまった床をはがした時点で、湿りとシロアリを確かめます。傷みがあれば、先に業者に直してもらいます

業者に見積もりを頼むときに確かめること

下地までを業者に頼み、仕上げの板張りを自分でする分け方もあります。

  • どこまでが工事に含まれるか(古い床の撤去と処分、根太・合板、断熱材、仕上げの板)
  • 断熱材の種類・厚さ・熱抵抗値と、壁の下の気流止めをするか
  • 床下の防湿と、シロアリを防ぐ処理が含まれるか
  • 土台や大引に傷みが見つかったときの、追加の費用の決め方
  • 一部を自分で施工する場合、補助金の対象になる範囲と、工事の保証の範囲

よくある質問

6畳の床を自分で張り替えると、材料費はいくらですか

10㎡として、杉の無垢板(節あり)が約5.2万〜7.1万円、断熱材(4地域・厚さ65mm)がメーカーの参考価格で約6.9万円です。このほかに、根太・合板・ビス・塗料・古い床の処分の費用がかかります。

1階の床の張り替えに、建築確認は要りますか

国土交通省の資料では、いちばん下の階の床は、建築確認の対象になる主要構造部から除かれています。柱や壁など、ほかの部分も一緒に大きく直すときは、市や県の建築の窓口に確かめてください。

まとめ

  • 自分でできるのは、重ね張りと1階の床板の張り替えまでです。土台・大引の交換、シロアリの手当て、床下の配線は業者に頼みます
  • 畳の部屋を板の間にするときは、根太を足して300mm前後の間隔にします
  • 床の断熱材は、4・5地域で熱抵抗値2.2以上(厚さ65mmなど)、2・3地域で3.3以上(厚さ100mmなど)が国の基準の目安です
  • 床をはがしたら、床下の風通し、湿気、シロアリを確かめます
  • 国と県の断熱の補助金は、登録した業者や県内の事業者が申請する制度で、自分で施工した工事には使えません