セルロースファイバーの価格と性能|長野県で選ぶ理由、グラスウールとの差額
セルロースファイバーの価格は、編集部の目安で施工面積1坪あたり約20,000円からです。延床35坪の新築で壁と天井に使うと約111万〜133万円、グラスウールとの差額は編集部の試算で約67万〜89万円です。断熱性能そのものは高性能グラスウールと同じ区分Cで、差額で買うのは隙間の少ない充填、調湿、吸音です。この記事は、長野県で新築や断熱リフォームを考えていて、セルロースファイバーが気になっている人に向けて書いています。
断熱材全般の比較は断熱材の費用比較にまとめています。ここではセルロースファイバーに絞って掘り下げます。
セルロースファイバーの価格|新築・リフォーム別の目安と差額
以下の金額はすべて編集部の目安です。断熱材の材料費に、専用機械での吹き込み、シート張り、養生、搬入の手間を含めた施工費として示しています。実際の金額は厚み、建物の形、現場までの距離で変わるため、見積もりで確認してください。
新築の坪単価・㎡単価
セルロースファイバーの坪単価には、施工面積あたりと延床面積あたりの2種類の言い方があります。
| 基準 | 費用の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 施工面積1坪(約3.3㎡)あたり | 約20,000円〜24,000円 | 断熱材比較の記事の起点(坪20,000円〜)を施工面積あたりの施工込みとして採用 |
| 施工面積1㎡あたり | 約6,000円〜7,300円 | 上の坪単価を㎡に換算 |
| 延床1坪あたり(壁+天井) | 約32,000〜38,000円 | 延床35坪・総2階の場合 |
| 延床35坪の総額(壁+天井183㎡) | 約111万〜133万円 | 床は基礎断熱として除外 |
| 1階の床断熱を加える場合(58㎡) | +約35万〜42万円 | 床下の通気シートと吹き込み |
延床1坪あたりの金額が施工面積あたりより高くなるのは、この例では外壁と天井の面積の合計(183㎡)が延床面積(約115.7㎡)の約1.6倍あるためです。この例では、延床の坪単価を約1.6で割ると施工面積あたりの単価になります。
リフォーム(天井・壁・床別)の費用

リフォームは、断熱材を入れる空間をどう確保するかで金額が大きく変わります。下の表は断熱工事の分だけで、壁や天井をはがした場合の内装の復旧費は別にかかります。
| 部位 | 主な施工方法 | 面積の例 | 費用の目安 |
|---|---|---|---|
| 天井 | 小屋裏から天井の上に吹き込む | 最上階の天井(下屋があればその天井も含む)60㎡ | 約40万〜60万円 |
| 壁(部屋単位) | 内壁をはがし、シートを張って吹き込む | 寝室の外壁面20㎡ | 約15万〜20万円+内装の復旧 |
| 壁(家全体) | 内壁をはがし、シートを張って吹き込む | 外壁面100㎡ | 約70万〜100万円+内装の復旧 |
| 床 | 床下にもぐり、大引の間にシートを張って吹き込む | 6畳(約3坪) | 約10万〜18万円 |
| 床 | 同上 | 1階全体60㎡(約18坪) | 約55万〜110万円 |
天井は既存の天井板をはがさずに小屋裏から吹き込めるため、リフォームで最も手を付けやすい部位です。床の金額は、当サイトの床の断熱リフォームの種類と費用で示している床下施工の目安(坪30,000〜60,000円)と同じ範囲で見ています。
グラスウールとの差額の試算
同じ家をグラスウールとセルロースファイバーで断熱した場合の差額を、次の前提で計算しました。
- 延床35坪(約115.7㎡)の総2階の木造住宅
- 外壁(窓を除く)125㎡に厚さ105mm、2階の天井58㎡に厚さ200mm相当。合計183㎡(約55.4坪)。外壁面積は間取りや窓の量で大きく変わります
- 床は基礎断熱とし、試算から除外
- グラスウールは高性能品16Kとし、防湿シート、気流止め、施工の手間を含めて施工面積1坪あたり8,000円と編集部が想定
- セルロースファイバーは施工面積1坪あたり20,000円と24,000円の2通り
| 項目 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| グラスウール | 55.4坪 × 8,000円 | 約44万円 |
| セルロースファイバー(下限) | 55.4坪 × 20,000円 | 約111万円 |
| セルロースファイバー(上限) | 55.4坪 × 24,000円 | 約133万円 |
| 差額 | 111万−44万 / 133万−44万 | 約67万〜89万円 |
| 倍率 | 111万÷44万 / 133万÷44万 | 約2.5〜3.0倍 |
断熱材比較の記事は坪あたりの最低ライン(グラスウール約3,000円〜、セルロースファイバー約20,000円〜)を示したもので、施工範囲の前提がそろっていません。本記事では、グラスウールも防湿シート・気流止め・施工の手間を含めた施工面積あたりの金額(編集部の想定で8,000円)にそろえて比べています。結果の約2.5〜3.0倍は、比較記事のグラスウールの2〜3倍という目安とほぼ同じ水準です。
坪単価85万円(当サイトの注文住宅の価格内訳の記事の目安)で35坪の本体工事費2,975万円と比べると、差額は本体工事費の約2〜3%です。この差を、隙間の少なさ、調湿、吸音にかける価値があるかで判断することになります。
補助金で負担を減らす
長野県の信州健康ゼロエネ住宅助成金(リフォームタイプ)は、令和8年度は総工事費の20%まで、最大140万円です。健康省エネリフォーム(浴室及び脱衣室又は寝室の断熱改修と建具の断熱改修、または住宅全体の床・天井・屋根の断熱改修)は最大50万円で、壁、床、天井の断熱改修は1㎡あたり3,000円で計算します。申請者は施主ではなく県内に主たる事務所を置く事業者で、工事着手の14日前までの申請が必要です。募集は第1期が令和9年1月29日まで、第2期が令和8年12月1日から令和9年3月15日までで、いずれも予算に達した時点で終了する先着順です。国の住宅省エネ2026キャンペーンのみらいエコ住宅2026事業も、床・壁・天井の断熱改修を含むリフォームを対象にしています。県の助成と同じ工事には重ねて使えないため、どちらか有利なほうを選びます。受付状況は予算の消化で変わるため、最新は公式サイトで確認してください。リフォームタイプは原則として国の補助(国費を財源とする市町村補助を含む)と併用できず、工事箇所を明確に分けられる場合などに限って併用できることがあります。同じ断熱工事に県と国の補助を重ねて使うことはできないと考えてください。
例えば家全体の天井60㎡を工事費50万円で断熱した場合、単価計算は60㎡×3,000円で18万円、総工事費の20%は10万円となり、小さいほうの10万円が助成額の目安です。断熱材の厚さは地域ごとの仕様基準を満たす必要があります(軽井沢町など寒い地域ほど厚くなります)。制度の全体像は信州健康ゼロエネ住宅助成金の解説にまとめています。
新築タイプは、県内に主たる事務所を置く事業者の施工と県産木材の使用が必須で、国の補助との併用はできません。第1期は令和8年8月3日受付分で終了しており、第2期は令和8年11月2日から令和9年3月15日まで(令和9年4月1日から令和10年3月25日までに事業が完了する住宅が対象)です。申請は事業者が行い、契約後、中間の現場工程の14日前までに申請します。
セルロースファイバーの性能|熱伝導率・密度・調湿・防音・防火

セルロースファイバーは、新聞紙などの古紙をほぐした木質繊維の断熱材です。メーカーのデコス(日本セルローズファイバー工業会の事務局)は、自社製品のデコスファイバーの原材料の約80%が新聞紙で、新聞紙などの木質繊維にホウ酸、ホウ砂、はっ水剤を加えた構成だと説明しています。
熱伝導率と密度
| 項目 | セルロースファイバー | 高性能グラスウール16K |
|---|---|---|
| 熱伝導率(W/(m・K)) | 0.040(25kg/m³でも55kg/m³でも同じ) | 0.038前後(製品により0.037〜0.038) |
| 国の断熱材区分 | 区分C(0.040〜0.035) | 区分C(0.040〜0.035) |
| 施工密度 | 天井25kg/m³、壁・床・屋根40〜60kg/m³(デコスの工法は壁・屋根・床55kg/m³) | 製品で決まる(16kg/m³) |
| 厚さ105mmの熱抵抗 | 2.625(㎡・K/W) | 約2.8(㎡・K/W) |
熱伝導率と施工密度はデコスの技術解説と工業会の記載、高性能グラスウール16Kの値は旭ファイバーグラスの省エネ基準適合製品リスト(アクリアウール16K厚さ105mmの熱抵抗2.8など)、断熱材区分は国土交通省の断熱材区分表(2010年の資料)によります。区分表では、吹込用セルローズファイバーの25K、45K、55Kと高性能グラスウール16Kは同じ区分Cに入っています。つまり同じ厚さなら断熱性能はほぼ同等で、セルロースファイバーが特に暖かいわけではありません。違いが出るのは、柱まわりや配管、コンセントの裏まで隙間なく埋められるかどうかです。
調湿
木質繊維なので、周りの湿度に応じて湿気を吸ったり吐いたりします。デコスは、一般的な住宅でペットボトル144本分の水蒸気を保てると説明しています。ただし同社自身が、セルロースファイバーを使えば結露しない、ということではないと明記しています。調湿は結露の危険を下げる性質で、結露を消す性質ではありません。
防音
繊維の間と繊維の中の空気が音のエネルギーを吸収するため、吸音性が高い断熱材です。工業会によると、中音域から高音域でよく音を吸収します。デコスの試験では、セルロースファイバー充填の壁に厚さ12.5mmのせっこうボードを張った仕様が、現場発泡ウレタン充填にせっこうボードを2枚重ねた仕様を上回る遮音性能を示しました。一方で、家の防音は窓や壁の構成でも決まるため、断熱材だけで静かになるわけではないとも書かれています。
防火・防虫
工業会によると、ホウ素系の化合物で難燃処理をしているため、約1,000℃の炎でも表面が炭化するだけで燃え広がりません。防火の認定は断熱材単体ではなく、外装材、面材、せっこうボードと組み合わせた壁の構造に対して取られています。デコスの認定一覧には、密度55kg/m³で充填した外壁の30分の防火構造や、45分・1時間の準耐火構造が並んでいます。防火地域や準防火地域で建てるなら、外装材まで含めて認定の仕様に合っているかを設計者に確認してください。
防虫については、ホウ酸を含むことから効果を説明する施工会社もあります。ただ、今回確認したメーカーと工業会の資料には、防虫やシロアリへの効果を示す数値や保証は見当たりませんでした。土台や床下のシロアリ対策は、断熱材とは別に考えるのが安全です。
長野県でセルロースファイバーを選ぶ理由と注意点
長野県は省エネ基準の地域区分で2〜5地域が混在し、長野市や松本市などは4地域、佐久市や茅野市などは3地域、軽井沢町などは2地域です。区分ごとの基準値は長野県で家を建てるなら断熱等級はいくつ?で整理しています。寒さが厳しい地域ほど、断熱材の隙間が冬の結露と寒さに直結します。
選ぶ理由:隙間の少なさと湿気への余裕
- 隙間なく充填できる。袋や板状の断熱材は配線やコンセントのまわりに隙間が残りやすいが、吹き込みなら繊維が入り込む
- 湿気を一時的に受け止める。室内外の温度差が大きい冬に、壁の中の湿気の偏りを和らげる方向に働く
- 古い家の不定形な空間にも合う。柱や梁が不ぞろいな住宅や古民家でも、空間の形に合わせて埋められる
注意点1:結露は計算で確かめる
デコスの工法は、室内側に通気性のある不織布を張って吹き込むのが基本です。防湿層を省く設計にする場合、同社の結露保証は内部結露計算をしていないと対象外になります。長野のように冬の外気温が低い地域では、建てる場所の気象データで内部結露計算をしたかを必ず確認してください。デコスは施工代理店を通じて計算を受け付けています。
注意点2:天井は沈降を見込んで厚く
天井の上に吹き込んだ断熱材は、自重で沈降します。デコスの実験では沈降率は約11%で、施工時は安全率1.2として設計厚さより厚く吹き込むとしています。例えば設計厚さが200mmなら、吹き込み直後は240mm程度が目安です。壁は密度55kg/m³で詰めることで沈下を防ぎます。
注意点3:厚みと断熱等級
熱伝導率0.040の断熱材の熱抵抗は、厚さ÷0.040で計算できます。壁105mmで2.625、120mmで3.0、天井200mmで5.0、300mmで7.5です。断熱等級は窓や換気も含めた外皮計算で決まるため、何mm入れれば何等級になるかは家ごとに違います。等級5や6を目指すなら、壁の厚みだけで足りるか、外側に断熱を足すかを設計者に計算してもらいましょう。
セルロースファイバーのデメリットと回避策
| デメリット | 起きること | 回避策 |
|---|---|---|
| 価格が高い | グラスウールより約67万〜89万円高い(35坪の試算) | 天井だけ、寝室だけなど部位を絞る。補助金を使う |
| 施工品質の差が大きい | 密度不足で壁の断熱材が沈下し、上部に隙間ができる。天井は沈降で厚さが減る | 施工密度の記録と写真を出せる業者に頼む |
| 施工できる会社が限られる | 近くに業者がおらず、出張費がかさむ | 早めに県内の施工店を探し、工程に組み込む |
| 水に弱い | 雨漏りや配管の漏水で濡れると性能が落ちる | 屋根と配管の点検を先に済ませる |
| 後から壁を開けにくい | 配線の追加で断熱材を動かすと欠損が出る | 配線計画を吹き込み前に決める |
デコス自身もデメリットとして、専門的な施工技術が必要なこと、施工できる会社が限られることを挙げています。デメリットの多くは、施工の質と建物の管理で抑えられます。
セルロースファイバーの施工業者の選び方
セルロースファイバーは、同じ材料でも施工で性能が変わります。工務店に任せきりにせず、次の点を見積もりの段階で確認してください。
- 施工者の資格。デコスの工法では、日本セルロースファイバー断熱施工協会の認定断熱施工技術者が施工します。他社製品でも、研修や認定の有無を聞く
- 責任施工かどうか。メーカーの指定を受けた施工店が材料と施工をまとめて責任を持つ形か、工務店の大工が機械を借りて吹き込むのか
- 吹き込み密度の管理方法。壁は55kg/m³前後で入っているか、どう確かめるか(使用袋数と体積の記録、写真)
- 天井の吹き込み厚さ。沈降を見込んで設計厚さの1.2倍程度で吹き込んでいるか
- 内部結露計算の有無。防湿層を省く場合は特に
- 保証の内容。デコスの工法には内部結露の被害に対する20年保証(結露の原因が製品に起因する場合、1物件500万円まで)があり、設計や施工が原因の場合は工務店や施工代理店が責任を負う仕組みです。適用条件と対象外の項目を書面で確認する
デコスの施工代理店一覧によると、長野県内の代理店は中野市の1社です(2026年10月時点)。工業会の会員名簿には、王子製袋、日本製紙木材、吉水商事、デコスの4社が名を連ねています。充填断熱と外張り断熱の選び方は、壁・天井の断熱リフォームの選び方を参考にしてください。
よくある質問
Q. セルロースファイバーの坪単価はいくらですか?
A. 編集部の目安で、施工面積1坪あたり約20,000〜24,000円、延床1坪あたりでは壁と天井で約32,000〜38,000円です。どちらの坪で書かれた金額かを確かめてから比べてください。
Q. グラスウールより暖かくなりますか?
A. 熱伝導率は0.040で、高性能グラスウール16Kと同じ国の区分Cです。材料の性能は同等で、差が出るのは隙間の少なさです。高性能グラスウール(16K以上)を丁寧に施工すれば同じ厚さでほぼ同じ性能になります。一般的なグラスウール10K・16Kは区分が下がるため、同じ厚さでは性能が劣ります。
Q. 天井裏に自分で吹き込めますか?
A. 工業会もメーカーも、専用の吹き込み機械での施工を前提にしています。密度と厚さの管理が性能を左右するため、DIYはおすすめしません。
Q. 年数がたつと沈んで隙間ができませんか?
A. デコスの実験では天井は約11%沈降し、同社は設計厚さの1.2倍で吹き込むとしています。壁は55kg/m³前後の密度で詰めて沈下を防ぎます。沈下による隙間は施工密度の不足が原因なので、密度の記録を残す業者を選んでください。
Q. 古民家の断熱にも使えますか?
A. 不定形な空間を埋めやすく、調湿性もあるため相性は良いと言えます。ただし土壁や床下の湿気の状態を先に確かめる必要があります。古民家での使い分けは断熱材の費用比較で解説しています。
まとめ
- 価格は編集部の目安で施工面積1坪あたり約20,000円から。延床35坪の壁と天井で約111万〜133万円
- グラスウールとの差額は35坪の試算で約67万〜89万円。本体工事費の約2〜3%
- 断熱性能は高性能グラスウールと同じ区分C。差額で買うのは隙間の少なさ、調湿、吸音
- 長野では内部結露計算、天井の沈降を見込んだ厚さ、等級に合った厚みを確認する
- 業者を選ぶときは、資格、責任施工、密度と厚さの記録、内部結露計算、保証を確認する。補助金は事業者が申請(リフォームは工事着手の14日前、新築は中間工程の14日前まで)
セルロースファイバーは、材料よりも施工で価値が決まる断熱材です。見積もりを取るときは、金額と一緒にどの密度で何mm入れ、それをどう記録するかを聞いてください。その答えが具体的な業者なら、差額に見合う家になります。