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長野県の家の暑さ対策|猛暑日が年10日を超える地域と、日よけ・断熱・エアコンの決め方

長野県の家の暑さ対策|猛暑日が年10日を超える地域と、日よけ・断熱・エアコンの決め方

「長野県は涼しい」という印象とは違い、盆地や谷の市街地では、猛暑日(最高気温が35℃以上の日)が年に10日を超えます。気象庁の2016〜2025年の観測値を集計すると、上田で年平均15.5日、長野と飯田で12.3日、松本で10.2日でした。2025年の上田は42日で、この10年でいちばん多い年です。

一方で、夜は気温が下がる日がほとんどです。昼は35℃を超えても、夜は涼しい。この気候に合わせると、暑さ対策の組み立て方は「日差しを入れない工夫」と「夜の涼しさを使う工夫」が中心になります。

この記事は、長野県で家を建てる人・リフォームする人に向けて、どの地域がどのくらい暑いのかを10年分の数字で示し、日よけ・断熱・エアコンをどの順番で考えるかを整理したものです。数字は、気象庁の年ごとの値をもとに「信州 家と庭」が集計しました(2026年10月に集計)。

長野県のどこが暑いのか|10年分の観測値

夏の盆地のまちと、遠くの山並みの上に立つ入道雲

集計に使ったのは、気象庁「過去の気象データ検索」 の年ごとの値です。県内で気温を観測していて、2016〜2025年の10年分がそろう29地点を比べました。

猛暑日が年平均10日以上の6地点

観測所
所在地・標高
猛暑日
年平均
猛暑日が
いちばん多い年
真夏日
年平均
南信濃
飯田市・407m
18.7日36日
2025年
69.8日
上田
上田市・502m
15.5日42日
2025年
64.8日
長野
長野市・418m
12.3日28日
2025年
60.8日
飯田
飯田市・516m
12.3日23日
2025年
63.7日
伊那
伊那市・633m
10.5日19日
2018年・2023年・2025年
58.6日
松本
松本市・610m
10.2日19日
2018年
62.8日

6地点とも、標高400〜600m台の盆地や谷にあります。真夏日(最高気温が30℃以上の日)は年に60日前後で、夏の2か月は毎日のように30℃を超える計算です。10年間の最高気温は、南信濃で39.5℃(2020年)、上田で39.0℃(2025年)、長野で38.5℃(2018年)でした。

猛暑日が少ない地点、まったくない地点

  • 年平均5〜10日:穂高(安曇野市)9.7日、佐久(佐久市)7.5日、信州新町(長野市)7.4日、飯山(飯山市)6.9日
  • 年平均1〜5日:松本今井(松本市)3.7日、辰野(辰野町)3.5日、木曽福島(木曽町)2.8日、立科(立科町)1.3日、南木曽(南木曽町)1.3日
  • 年平均1日未満:飯島(飯島町)0.7日、大町(大町市)0.5日、諏訪(諏訪市)0.1日
  • 10年間で1日もない:軽井沢、野辺山、白馬、野沢温泉、信濃町、原村、開田高原、菅平、浪合、東御、奈川の11地点

同じ市町村の中でも、標高で大きく変わります。上田市は市街地の上田観測所が年平均15.5日なのに対し、菅平は10年間で0日です。松本市も、市街地が10.2日、奈川は0日です。

猛暑日がなくても、真夏日はある

観測所
所在地・標高
猛暑日
年平均
真夏日
年平均
10年間の
最高気温
諏訪
諏訪市・760m
0.1日41.5日35.0℃
大町
大町市・784m
0.5日35.5日35.5℃
白馬
白馬村・703m
0.0日29.5日34.6℃
野沢温泉
野沢温泉村・576m
0.0日28.6日34.8℃
原村
原村・1,017m
0.0日26.3日34.3℃
信濃町
信濃町・685m
0.0日23.8日34.6℃
軽井沢
軽井沢町・999m
0.0日8.6日32.9℃
野辺山
南牧村・1,350m
0.0日1.1日30.8℃

諏訪は猛暑日がほとんどありませんが、真夏日は年に41.5日あります。白馬や野沢温泉のような雪の多い土地でも、年に30日近くは30℃を超えます。「涼しい土地だからエアコンは要らない」と言い切れるのは、軽井沢や野辺山のような標高1,000m前後の高原に限られます。

この10年は、後半の5年のほうが多い

観測所猛暑日
2016〜20年
猛暑日
2021〜25年
真夏日
2016〜20年
真夏日
2021〜25年
南信濃13.2日24.2日64.8日74.8日
上田9.8日21.2日53.6日76.0日
長野9.2日15.4日52.4日69.2日
飯田9.6日15.0日57.6日69.8日
伊那7.8日13.2日51.6日65.6日
松本7.6日12.8日55.2日70.4日

どちらも、5年間の年平均です。

猛暑日が多い6地点は、どこも後半の5年のほうが多くなっています。上田は9.8日から21.2日へ、長野は9.2日から15.4日へ増えました。ただし、10年間だけでは長い目での傾向とまでは言い切れません。年による差が大きく、2016年・2017年は少なく、2018年・2023年・2025年が多い、という並びです。

家は30年、40年と使うものです。「これまで冷房なしで過ごせた」という経験より、多かった年の数字を基準に備えるほうが安全です。

夜は気温が下がる日がほとんど

最低気温が25℃以上の日(熱帯夜の目安)は、長野で年平均3.4日、松本で0.8日、飯田で0.4日、上田で0.1日、伊那は10年間で0日です。昼に35℃を超えても、夜は25℃を下回る日がほとんどです。

ただし長野は、2023年に11日ありました。市街地では、夜も気温が下がらない日が出てきています。

お住まいの市町村の数字は、市町村ごとの「家づくりの地域データ」のページで見られます(長野市・松本市・上田市・飯田市・伊那市・佐久市・安曇野市・諏訪市 など、県内77市町村)。観測所が市町村の外にある場合は、そのことをページに書いています。

暑さ対策は「入れない・逃がす・冷やす」の順で考える

長野県の省エネリフォームの資料によると、夏の冷房時(昼)に家へ入ってくる熱のうち、73%は窓などの開口部からです。屋根からは11%、外壁からは7%です(長野県「省エネアドバイス リフォーム編」)。エアコンを選ぶ前に、まず窓から入る日差しを止めるのが近道です。

1. 窓の外で日差しを止める

窓の外側に取り付けた日よけのシェードが、夏の日差しを遮っている住宅の窓辺

日差しは、ガラスの外側で遮るほうが効きます。室内のカーテンやブラインドは、日差しがいったんガラスを通ってから受け止めるので、温まったカーテンの熱が部屋に残ります。すだれ・よしず・外付けのシェード・外付けブラインドのように、窓の外で止める方法を先に検討してください。

  • 南の窓:夏は太陽が高いので、軒やひさしで日差しを遮れます。冬は太陽が低くなるので、同じ軒でも日差しは部屋の奥まで入ります。冬の日差しを暖房の助けにしたい長野県では、南の窓は「軒・ひさしで夏だけ遮る」のが基本です。
  • 東と西の窓:朝と夕方は太陽が低く、軒やひさしでは遮れません。外付けのシェードやすだれを付ける、窓を小さくする、落葉樹を植える、といった方法になります。西日の当たる部屋が暑い家は、ここから手を付けるのが効果的です。
  • 窓ガラス:複層ガラスには、日差しの熱を通しにくいタイプと、取り込みやすいタイプがあります。西・東は通しにくいタイプ、南は冬の日差しを取り込みやすいタイプ、という使い分けを業者に相談できます。

窓の性能の選び方は長野県で家を建てるなら断熱等級はいくつ?、冬の日差しを生かす土地選びは長野県の土地選びは冬の日射で決まるにまとめています。

2. 屋根・天井の断熱で、2階の暑さを抑える

窓の次に熱が入るのは屋根です。「2階だけ暑い」「夜になっても2階の熱が抜けない」という家は、天井や屋根の断熱が足りていないことがあります。天井裏に断熱材を足す工事は、リフォームでも比較的取り組みやすい部類です。

屋根・天井の断熱は、冬の暖房の熱を逃がさない役目も兼ねます。長野県では、冬のために入れた断熱が、そのまま夏にも効きます。壁・天井の断熱リフォームの工法は「壁・天井」断熱リフォームの選び方で比べています。

3. 夜の涼しさを家に入れる

夜に気温が下がる長野県では、夜の風通しが使えます。風は入口と出口の両方がないと抜けないので、部屋の対角に窓を設ける、階段の上や吹き抜けに高い窓を設けて熱を上から逃がす、といった配置を設計の段階で相談してください。

気を付けたいのは昼です。外の気温が室内より高い時間帯に窓を開けると、熱い空気を入れることになります。猛暑日の昼は窓を閉めて日差しを遮り、気温が下がってから開ける、という使い分けが向いています。防犯と急な雨を考えて、開けたまま眠れる窓(高い位置の窓、格子や面格子のある窓)を決めておくと安心です。

4. エアコンは「付ける前提」で、台数と容量を決める

猛暑日が年10日前後ある地域では、エアコンは必要な設備です。居間と寝室に付ける前提で、台数と容量を決めてください。断熱と日よけがしっかりしている家ほど、小さい容量で足ります。容量は部屋の広さだけで決めず、断熱の性能と窓の向きを伝えて、業者に根拠を出してもらうことをおすすめします。

  • 涼しい地域でも準備だけはしておく:新築なら、あとからエアコンを付けられるように、配管を通す穴と専用のコンセントを用意しておくと、後付けの費用を抑えられます。
  • 室外機の置き場所:直射日光が当たり続ける場所は、冷房の効きが落ちます。長野県では、冬に雪に埋もれない高さ・場所かどうかも同時に確かめてください。
  • 暖房と兼ねる:寒冷地向けのエアコンを暖房にも使う家が増えています。暖房の方式とあわせて決めると、台数を無駄にしません。

暖房の方式の比べ方は長野県の暖房方式の比較、家全体を1台で冷暖房する方式は全館暖房・全館空調は長野県で成立するかで解説しています。

新築とリフォームで、できることの違い

対策新築リフォーム
軒・ひさし設計の段階で長さを決める後付けのひさし・オーニングを付ける
窓の位置と大きさ西・東の窓を小さくする変えにくいので、外付けのシェードやすだれで補う
窓ガラス方位ごとにタイプを使い分ける内窓を付ける、ガラスを交換する
屋根・天井の断熱断熱等級とあわせて厚みを決める天井裏に断熱材を足す
エアコン台数・位置・配管の穴を図面で決める専用のコンセントと室外機の置き場所を確かめる

リフォームで内窓を付ける場合は、国の「先進的窓リノベ2026事業」の対象になることがあります。予約の受付は遅くとも2026年11月16日までで、予算の上限に達した時点で終わります(期限は2026年10月7日、受付中であることは10月13日に公式サイトで確認)。条件と補助額は先進的窓リノベ2026事業の解説にまとめています。

内窓は冬の寒さ対策として知られていますが、夏に外の熱を伝えにくくする効果もあります。ただし、内窓だけでは日差しそのものは止まりません。西日の当たる窓は、外側の日よけと組み合わせてください。窓の断熱リフォームの方法は「窓」の断熱リフォーム徹底比較で比べています。

地域ごとの考え方

盆地・谷の市街地(猛暑日が年10日前後)

長野・松本・上田・飯田・伊那などの市街地です。夏の暑さ対策を、冬の寒さ対策と同じ重さで計画してください。南と西の日よけ、屋根・天井の断熱、居間と寝室のエアコンを、はじめから設計に入れておくことをおすすめします。

標高700〜800m前後(猛暑日は少ないが、真夏日は年30〜50日)

諏訪・大町・辰野・木曽福島・立科・白馬などです。猛暑日はまれでも、30℃を超える日は年に1〜2か月分あります。日よけを用意し、エアコンは少なくとも1台は付ける前提で考えておくと安心です。

標高1,000m前後の高原(真夏日も少ない)

軽井沢・野辺山・開田高原・菅平などです。冷房の負担は小さく、暑さより湿気と寒さへの備えが中心になります。それでも暑い年はあるので、あとからエアコンを付けられる準備だけはしておくと安心です。別荘の湿気への備えは別荘の湿気・カビ対策で解説しています。

業者に相談するときに確かめたいこと

  • 窓の向きごとに、日よけの提案があるか(南は軒・ひさし、東西は外付けのシェードなど)
  • 窓ガラスのタイプを、方位で使い分ける提案があるか
  • 屋根・天井の断熱材の種類と厚みが、見積もりに書かれているか
  • エアコンの容量を、断熱の性能と窓の向きから説明してもらえるか
  • 室外機の置き場所が、夏の日差しと冬の雪の両方を考えた位置になっているか

断熱リフォームに対応する長野県内の業者は、断熱リフォームの業者一覧から探せます。

よくある質問

長野県なら、エアコンなしで暮らせますか?

地域によります。長野・松本・上田・飯田などの市街地は、猛暑日が年に10日以上あり、エアコンは必要です。猛暑日がほとんどない諏訪でも、真夏日は年に41.5日あります。エアコンなしを前提にできるのは、軽井沢や野辺山のような標高1,000m前後の高原です。

すだれと遮熱カーテンは、どちらが効きますか?

窓の外に付けるすだれのほうが効きます。日差しがガラスを通る前に止められるからです。遮熱カーテンは、外に日よけを付けられない窓や、すだれと組み合わせて使うのに向いています。

断熱を良くすると、夏は熱がこもって暑くなりませんか?

日差しを入れなければ、断熱の良い家は夏も涼しく保てます。外の熱が伝わりにくく、冷房で冷やした空気が逃げにくいためです。暑くなるのは、日よけのない大きな窓から日差しが入り、その熱が外へ逃げにくくなる場合です。断熱と日よけは、セットで考えてください。

まとめ

  • 長野県の盆地・谷の市街地は、猛暑日が年に10日以上ある。この10年は、後半の5年のほうが多い
  • 夜は気温が下がる日がほとんど。日差しを入れない工夫と、夜の涼しさを使う工夫が中心になる
  • 対策は、窓の外の日よけ → 屋根・天井の断熱 → 夜の風通し → エアコン、の順で考える
  • 猛暑日がない地域でも、真夏日は年に30日前後ある。エアコンを付けられる準備はしておく

暑さの程度は、同じ市町村でも標高で変わります。まず自分の土地の数字を確かめ、冬の備えとあわせて、設計やリフォームの早い段階で業者に相談してみてください。