長野県の省エネ地域区分 77市町村一覧|2〜5地域で断熱の基準値(UA値)はどう変わるか
家の断熱性能の基準は、建てる場所の「省エネ地域区分」で変わります。長野県は、全国を8つに分けた区分のうち2地域から5地域までの4つにまたがっていて、同じ県内でも、市町村によって求められる断熱性能が違います。
この記事では、長野県77市町村の地域区分を一覧にし、区分ごとに断熱の基準値(UA値)がどう変わるかをまとめました。市町村合併の前の区域で区分が分かれる、上田市・塩尻市・木曽町の扱いも載せています。
地域区分は、国土交通省「地域区分新旧表」(国土交通省告示第265号 別表第10、令和2年7月時点)で、77市町村を1つずつ照合しました(2026年10月に確認)。
自分の市町村をすぐ探したい人は、市町村別の一覧(北信/東信/中信/南信)へ。
省エネ地域区分とは

省エネ地域区分は、建築物省エネ法にもとづいて、全国の市町村を寒さの程度で1〜8の8つに分けたものです。数字が小さいほど寒い地域で、求められる断熱性能が高くなります。1・2地域は北海道が中心で、8地域は沖縄です。
- 何に使うか:新築の住宅が満たすべき断熱の基準値(UA値)が、区分ごとに決まっています。
- どこで決まるか:国土交通省の告示(第265号 別表第10)に、市町村ごとの区分が書かれています。
- いつの区分か:いまの区分は、令和元年(2019年)11月16日に施行されたものです。それより前に建てた家は、当時の区分と違うことがあります。
長野県は、軽井沢町や川上村のような標高の高い町村が2地域、飯田市と喬木村が5地域で、ほかは3地域か4地域です。
長野県77市町村の地域区分一覧
| 地域区分 | 市町村の数 | 主な市町村 |
|---|---|---|
| 2地域 | 6町村(ほかに2市町の一部) | 軽井沢町、川上村、南牧村、木祖村など |
| 3地域 | 29市町村(ほかに2市町の一部) | 佐久市、茅野市、岡谷市、大町市、白馬村など |
| 4地域 | 37市町村(ほかに2市の一部) | 長野市、松本市、諏訪市、伊那市、飯山市など |
| 5地域 | 2市村 | 飯田市、喬木村 |
市町村の名前を押すと、その市町村の「家づくりの地域データ」のページ(気象庁の10年分の数字、垂直積雪量、凍結深度のほか、土地の価格や災害の区域)が開きます。
北信(14市町村)
東信(16市町村)
| 地域区分 | 市町村 |
|---|---|
| 2地域 | 川上村、南牧村、南相木村、北相木村、軽井沢町 |
| 3地域 | 上田市(旧真田町・旧武石村)、小諸市、佐久市、小海町、佐久穂町、御代田町、立科町、長和町 |
| 4地域 | 上田市(旧上田市・旧丸子町)、東御市、青木村、坂城町 |
中信(19市町村)
| 地域区分 | 市町村 |
|---|---|
| 2地域 | 塩尻市(旧楢川村)、木祖村、木曽町(旧開田村) |
| 3地域 | 大町市、上松町、王滝村、木曽町(旧木曽福島町・旧日義村・旧三岳村)、麻績村、生坂村、朝日村、筑北村、白馬村、小谷村 |
| 4地域 | 松本市、塩尻市(旧塩尻市)、安曇野市、南木曽町、大桑村、山形村、池田町、松川村 |
南信(28市町村)
| 地域区分 | 市町村 |
|---|---|
| 3地域 | 岡谷市、茅野市、富士見町、原村、辰野町、平谷村、売木村 |
| 4地域 | 諏訪市、伊那市、駒ヶ根市、下諏訪町、箕輪町、飯島町、南箕輪村、中川村、宮田村、松川町、高森町、阿南町、阿智村、根羽村、下條村、天龍村、泰阜村、豊丘村、大鹿村 |
| 5地域 | 飯田市、喬木村 |
合併前の区域で区分が分かれる3市町
上田市・塩尻市・木曽町は、市町村合併の前の区域ごとに区分が違います。住所だけでは決まらないので、敷地が合併前のどの市町村だったかを確かめてください。
| 市町 | 区域 | 地域区分 |
|---|---|---|
| 上田市 | 旧上田市・旧丸子町 | 4地域 |
| 上田市 | 旧真田町・旧武石村 | 3地域 |
| 塩尻市 | 旧塩尻市 | 4地域 |
| 塩尻市 | 旧楢川村 | 2地域 |
| 木曽町 | 旧木曽福島町・旧日義村・旧三岳村 | 3地域 |
| 木曽町 | 旧開田村 | 2地域 |
塩尻市は、旧塩尻市が4地域、旧楢川村が2地域で、2段階の開きがあります。同じ市の中でも、求められる断熱性能が大きく違う例です。
地域区分で変わる、断熱の基準値
断熱性能は「UA値」(外皮平均熱貫流率)で表します。家の中の熱が、壁・屋根・床・窓からどのくらい逃げやすいかを示す数字で、小さいほど断熱性能が高いことを意味します。「断熱等性能等級」(断熱等級)ごとに、地域区分に応じた上限の値が決まっています。
| 地域区分 | 等級4 UA値 | 等級5 UA値 | 等級6 UA値 | 等級7 UA値 |
|---|---|---|---|---|
| 2地域 | 0.46 | 0.40 | 0.28 | 0.20 |
| 3地域 | 0.56 | 0.50 | 0.28 | 0.20 |
| 4地域 | 0.75 | 0.60 | 0.34 | 0.23 |
| 5地域 | 0.87 | 0.60 | 0.46 | 0.26 |
単位はW/㎡Kで、この値以下にすることが条件です。等級6・7は戸建て住宅の基準です(出典:国土交通省の資料(断熱等性能等級の基準値の表))。
- 等級4:省エネ基準。2025年4月以降に着工する新築の住宅は、この基準を満たすことが義務になっています(国土交通省「省エネ基準適合義務の対象拡大について」)。
- 等級5:ZEH(ゼッチ)水準。国は、2030年にはこの水準を新築の標準にするとしています。
- 等級6・7:さらに上の等級。暖房の負担を大きく減らせる水準です。
同じ等級でも、市町村で求められる値が違う
たとえば等級6を目指す場合、2地域の軽井沢町と3地域の佐久市はUA値0.28以下、4地域の長野市・松本市は0.34以下、5地域の飯田市は0.46以下です。同じ「等級6の家」でも、軽井沢町と飯田市では、必要な断熱の厚みや窓の性能が変わります。
見積もりや性能の説明を受けるときは、等級の数字だけでなく、「どの地域区分の基準で計算したか」を確かめてください。断熱等級の選び方と費用の目安は長野県で家を建てるなら断熱等級はいくつ?にまとめています。
地域区分だけでは決まらないこと

地域区分は、市町村(または合併前の市町村)を単位にした線引きです。同じ区分の中でも、気候にはかなりの幅があります。気象庁の2016〜2025年の観測値で比べると、次のとおりです。
| 市町村 観測所 | 地域区分 | 年平均気温 | 冬日 年平均 | 年の最低気温 10年平均 |
|---|---|---|---|---|
| 南牧村 野辺山観測所 | 2地域 | 8.2℃ | 158.9日 | -20.5℃ |
| 軽井沢町 軽井沢観測所 | 2地域 | 9.3℃ | 145.9日 | -13.6℃ |
| 白馬村 白馬観測所 | 3地域 | 10.2℃ | 132.9日 | -15.6℃ |
| 大町市 大町観測所 | 3地域 | 10.4℃ | 131.2日 | -14.4℃ |
| 佐久市 佐久観測所 | 3地域 | 11.9℃ | 126.3日 | -12.8℃ |
| 飯山市 飯山観測所 | 4地域 | 12.1℃ | 107.8日 | -14.9℃ |
| 諏訪市 諏訪観測所 | 4地域 | 12.2℃ | 101.2日 | -10.2℃ |
| 松本市 松本観測所 | 4地域 | 13.1℃ | 101.9日 | -10.1℃ |
| 長野市 長野観測所 | 4地域 | 13.1℃ | 95.9日 | -9.4℃ |
| 伊那市 伊那観測所 | 4地域 | 12.9℃ | 104.7日 | -10.6℃ |
| 飯田市 飯田観測所 | 5地域 | 13.7℃ | 85.3日 | -8.4℃ |
冬日は、最低気温が0℃未満の日です。同じ4地域でも、飯山市は年の最低気温が平均-14.9℃、長野市は-9.4℃で、5℃以上の差があります。4地域の飯山市は、3地域の大町市(-14.4℃)や佐久市(-12.8℃)より、年の最低気温が低くなっています。
- 標高:同じ市町村でも、標高が上がれば寒くなります。山あいの地区や別荘地は、市街地より上の性能を見込んでおくと安心です。
- 地域区分は最低限の目安:区分で決まるのは「満たすべき値」です。冬の寒さが厳しい土地では、基準より上の等級の見積もりも取って、暖房費と比べることをおすすめします。
- 夏の日差し:1〜4地域には、夏の日差しを遮る性能(日射熱取得率)の基準値がありません。長野県で基準値があるのは、5地域の飯田市と喬木村だけです。ただし、長野市や松本市の市街地は夏の暑さも厳しいので、基準がなくても日よけは考えておきたい点です。
県の助成は、地域区分で基準が変わる
長野県の「信州健康ゼロエネ住宅助成金」(新築タイプ)は、最低基準のUA値を、2地域は0.40以下、3〜5地域は0.50以下としています(2026年10月7日に県の公式サイトで確認)。2・3地域では国の等級5と同じ値、4・5地域では等級5(0.60以下)より厳しい値です。
助成の金額と申請の流れは信州健康ゼロエネ住宅助成金の解説で解説しています。募集の状況は年度の途中でも変わるので、申し込む前に公式サイトで確かめてください。
業者に確かめたいこと
- 敷地の地域区分はいくつか(上田市・塩尻市・木曽町は、合併前のどの区域か)
- UA値は、どの地域区分の基準で計算しているか
- 基準ぎりぎりではなく、1つ上の等級にした場合の差額と、暖房費の違い
- 敷地の標高や日当たりを、断熱と窓の提案に反映しているか
長野県内の業者は、新築・リフォームの業者一覧から、市町村ごとに探せます。
よくある質問
自分の家の地域区分は、どうやって調べますか?
この記事の一覧で、市町村の名前を探してください。上田市・塩尻市・木曽町は、合併前の市町村で区分が分かれるので、敷地が旧どの市町村だったかを確かめます。正式な区分は、国土交通省の告示(第265号 別表第10)に書かれています。
地域区分は、変わることがありますか?
あります。いまの区分は令和元年(2019年)11月16日に施行されたものです。この記事は、国土交通省の令和2年7月時点の資料で照合しました。それより後に改正されたかどうかは確認できていないので、建てる前に、設計者か確認検査機関に最新の区分を確かめてください。
リフォームにも、地域区分は関係しますか?
新築のような義務はありませんが、目安になります。断熱リフォームでどこまで性能を上げるかを決めるとき、その土地の等級の値が1つの物差しです。寒さの厳しい地域区分の市町村ほど、窓と天井・床の断熱を優先する効果が大きくなります。
まとめ
- 長野県は2地域から5地域まで。数字が小さいほど寒く、求められる断熱性能が高い
- 2地域は6町村、3地域は29市町村、4地域は37市町村、5地域は飯田市と喬木村
- 上田市・塩尻市・木曽町は、合併前の区域で区分が分かれる
- 同じ等級でも、地域区分でUA値の基準が変わる。見積もりでは、どの区分で計算したかを確かめる
- 同じ区分の中でも気候には差がある。標高と、その土地の観測値もあわせて見る